近所で噂の“危ない車”…運転手の正体は母だった。住宅街であと数センチの事故、警察沙汰になった顛末

近所で噂の“危ない車”…運転手の正体は母だった。住宅街であと数センチの事故、警察沙汰になった顛末

◆「危ない車」の正体とは…


交通事故
※写真はイメージです
 一方、吉田由紀子さん(仮名・30代)が話すのは、同居する母親についてだった。

「母は60代の経営者。ワンマンで頑固な性格なんです」

 ある日、母親が高級ミニバンを購入した。自慢げに乗り回すようになって間もなく、近所の人から忠告を受けたという。

「最近、危ない車がいるから気をつけな。車種とナンバーは――」

 聞いた瞬間、吉田さんは凍りついた。

「……うちの母だと思いました」

 母親に問いただしても、「高級車だから妬まれてるのよ」と聞く耳をもたなかったようだ。

◆あと“数センチ”でぶつかるところだった


 転機は、狭い住宅街で起きた出来事だった。

 散歩中の母娘の背後から、大きな車が迫ってきたという。パッシングを繰り返し、クラクションを鳴らし続ける。それは、吉田さんの母親が運転する車だった。そして、驚いた娘が転び、ケガをしたという。

「車との距離は数センチ。少し間違えば大事故だったそうです」

 その母娘は、日ごろから“無謀な運転をする母”を知っており、すぐに通報。警察が母親の会社を訪れ、従業員の前で厳しく注意したと聞いた。

 それでも、母親は反省を示さなかったそうだ。

「近所のみんなが知ってるよ。回覧板で注意喚起してもらうよ!」

 吉田さんは、ハッタリを交えて母親に告げた。それ以降、近所の目を避けるように、夜遅く帰宅する日々が続いたという。

「また通報される」
「被害者は私だ」

 そう口にする母親の姿を、吉田さんは複雑な思いで見つめていた。やがて母親は、「こんな土地ごめんだわ」と言い残し、引っ越していったのだとか。

「最後まで、『自分は悪くない』という姿勢は崩しませんでしたね」

 今もどこかでハンドルを握っているかもしれない。誰かを傷つけていないことを願うばかりだという。

<取材・文/chimi86>

【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。
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