今年、日本進出50周年を迎える「ラルフ ローレン」

今年、日本進出50周年を迎える「ラルフ ローレン」

普遍的なスタイルだからこそ、多くの人に支持される

昨年はミラノの帝王と呼ばれたジョルジオ・アルマーニが亡くなり、今年に入ってからはヴァレンティノ・ガラバーニが亡くなりました。二つのファッション界の巨星が消えてしまったのです。

ヴァレンティノ・ガラバーニの優雅で贅沢、かつグラマラスなドレスは多くのセレブリティに愛され、特にヴァレンティノ・レッドと呼ばれた深紅のドレスは彼の象徴でした。のちには「レッド」というブランドまで誕生させました。

二人ともイタリアを代表するファッションデザイナーで、もう二度と彼らのようなデザイナーは現れないのではとも言われています。

天才がいなくなってもファッション業界は、日々歩み続けています。クリエイティブ・ディレクターが代わり、新たな展開を迎えているところが多いのが、現在のラグジュアリー・ブランドです。

そんな中で唯一といっていいほど、創業時からそのテイストが変わらないブランドがあります。それはアメリカの「ラルフ ローレン」です。

ニューヨーク出身で、高校の卒業アルバムでは、将来の目標として「ビリオネアになること」と書き込んだラルフ・ローレンは、1967年に「ポロ」というブランド名でワイドタイの製作販売から事業をスタートさせ、メンズウェア、ウィメンズウェア、キッズウェア、ホームと事業を拡大し、大成功をおさめています。

アメリカで「ファッション界のアカデミー賞」と称され、ファッションデザイナーとしては最高の栄誉である「コティー賞」をメンズウェア、ウィメンズウェア部門で合計4回受賞し、殿堂入りを果たした唯一のデザイナーでもあるのです。

1974年の映画『華麗なるギャツビー』では衣装部門でアカデミー賞を受賞し、1977年の映画『アニー・ホール』では主演のダイアン・キートンとウッディ・アレンに衣装を提供し、新しいトレンドを引き起こし、その名を不動のものにしました。

また多くのアメリカのファッションデザイナーが彼のもとで修業し、飛び立っていったことでも有名です。例えば最近では「セリーヌ」の新クリエイティブ・ディレクターのマイケル・ライダーも彼のもとで働いていました。しかし彼自身はファッションデザイナーと呼ばれるのではなく、スタイリスト、ライフスタイルのデザイナーと呼んでほしいと常に言っています。

ラルフ・ローレンの提案するライフスタイル。それはまさにイギリスの伝統的なスタイルをアメリカ流にアレンジし、カジュアルさとスポーティな部分を融合させたものです。アメリカ文化を代表するファッションとして、スポーツウェアの代名詞として、世界で定着しています。ファッションだけでなく飲食部門でもシカゴ、ニューヨーク、パリで展開するレストランは予約を取るのが難しいほど人気があります。また2014年からは「ラルフズ コーヒー」というカフェ事業も手掛けています。

彼の徹底した完璧主義は、その店舗の外装や内装にも見てとれます。どの都市においても直営店は同じような雰囲気や香りを醸し出しています。店内で飾られる古い絵画や乗馬用品などは専門の人間がオークションで購入したり、アンティーク店をめぐったりして収集したものなのです。

日本に進出したのは1970年代。それまでアメリカのIVYリーグのファッションを手本にしていた団塊の世代の多くが、すぐに飛びつきました。その後も渋谷のカジュアルウェアやストリートファッションにも大きな影響を与えました。特にネイビーのブレザーやポロシャツはその代表的なものです。

しかし、本国では少し異なるイメージのブランドとして確立されているのです。ペンキ職人である父を持つ彼自身が、アメリカンドリームを体現した人物であるように、彼の服はアメリカの成功者が着る服、アメリカンドリームを実現しようとする人たちのための服でした。

ビジネス的には成功していた日本で定着したイメージは、本人の目指すイメージとは、ずれがあったのです。そのずれを解消しようと、日本にある店舗は、2005年以降にはすべてアメリカ本国の直営に変わりました。また、コレクションで発表される「ラルフ ローレン」のファッションは、いかにもアメリカのハイエンドな層が気に入るようなものばかりです。日本の「ラルフ」ファンには、その価格もふくめ、手に取りやすいものではありません。それでも、「やっぱり、『ラルフ』の服は素敵」と言えるなにかがそこにはあるのです。

ファッションの初心者にも、プロにも、そしてファッションから卒業した人にも

1967年創業のこのアメリカを代表するブランドは、2027年創業60周年、今年は日本上陸50周年を迎えます。彼の作り上げる世界は、ファッションを楽しむ人達にはもちろんのこと、ファッションの入門者にも選ばれるものでもあり、またファッションから卒業した人にとってもふさわしいものだと思います。

左から、長女ディラン・ローレン、ラルフ・ローレン、リッキー・ロ
ーレン、長男アンドリュー・ローレン、次男デヴィッド・ローレン
©Hal Horowitz/Getty Images

私は今まで何回もご本人とお会いし、またインタビューさせていただき、また彼の家族とも親交を深めてきました。奥様のリッキー・ローレンはアメリカのフードやライフスタイルに関する本を著し、高級キャンディーバーで成功をおさめている長女のディラン・ローレン、「ラルフ ローレン」帝国を率いる次男のデヴィッド・ローレン、音楽や映画の世界で活躍している長男アンドリュー・ローレンといった素晴らしい家族に恵まれているのもラルフ・ローレンの魅力ではないでしょうか。「ラルフ」のファンを自認する私としても、これからこのブランドがどう発展していくか、今まで以上に注目していきたいと思います。

2026年2月26日

・「ラルフ ローレン」ブラックコミュニティの聖地“オークブラフス”に敬意を表する限定コレクションを発表
・メーガン妃、ラルフ ローレンの軽快なリネンのパンツスーツで本気のビジネスルックを披露

配信元: marie claire

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