



家庭的な雰囲気で愛される、景観もご馳走のマンドゥ店。
ソウル北部の付岩洞の高級住宅街の一角。小さなしゃれた看板を横目に石段を上るとテラス席、その先に並ぶ醤油甕を見ながら玄関へ。まるで、誰かの家にお邪魔する感じだ。2階の席に上がると、目の前に山並みが広がり、気分が上がる。
店主、パク・ヘギョンさんの家では、お正月に家族でマンドゥ(餃子)を作るのが恒例だった。皮は男性陣が作り、女性たちが中身を詰めるのが決まりだった。あるとき、知り合いの知り合いがマンドゥ店を始めたのだが、食べてみたら「私のほうが上手だと思って(笑)」、友人たちに食べてもらったのが始まり。弟の嫁と2人で「おもしろいことをしよう」と、マンドゥ用の器を20個買い、あとは家にあるものを活用し、駐車場にパラソルを3つ広げ、お店ごっこ的に店を始めた。最初は反対されたが、102歳まで生きた祖母は、キムチを漬けたり、この店のアイデンティティともいうべき醤油を造ったりと、陰から支えてくれた。
マンドゥはもちろん、調味料も、何から何まで手作り。化学調味料不使用。丁寧な手仕事から生まれる、どこにもないやさしい味が評判を呼び、いつの間にか、自宅がどんどんレストランになっていった。看板メニューのマンドゥグッ(餃子スープ)の餃子はかなり大きめ。具材は豚肉と牛肉、緑豆もやしと豆腐。スープは牛肉を5〜6時間煮て醤油で調味したものだ。
紫霞ソンマンドゥ자하손만두/ジャハソンマンドゥ
付岩洞(プアムドン)
「古いと思われないよう、常に研究を重ねています」と店主。メニューには、夏に食べるきゅうり入りの四角く包んだ蒸し餃子・ピヨンスー(12,000W)も。
Shop Data 종로구 백석동길 12/12, Baekseokdong‒gil, Jongno‒gu 11:00~20:15LO 月休 Instagram @jaha_sonmandoo
文・P(ぴい)
食のライター&エディター。2年ぶりのソウル、取材先のストーリーがおもしろくてつい長居。お店の歴史を知ると、訪ねる喜びもおいしさも倍増。ソウルますますおいしいよ
photo : Sachie Abiko coordination : Sung eun Kong cooperation : Jinon Kim & Hyejin Kim (TOKYO DABANSA)
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TRIP TO SEOUL / ひとりでも、韓国・ソウルへ。&Premium No. 146
活気とスピード感に満ち溢れ、何度でも訪ねたくなる街、韓国・ソウル。もちろんその熱気に包まれる体験も大きな魅力ですが、歩く速度を緩めて街を眺めてみると、山に抱かれた美しい景色や歴史を感じる名所だけでなく、思いがけないところに、静けさを湛えたエアポケットのような場所があることに気づきます。今号の特集は、「ひとりでも、韓国・ソウルへ」。おもな案内人は、ソウルで Better Life を送るローカルのみなさんです。静謐な早朝散歩、地元で愛される食堂や喫茶店、市場の路地裏、精緻な工芸や日用品を扱う店、個性的な書店や美術館......。暮らす人たちのように“ふだんのソウル”に触れてみてください。
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