「しんどくても休めない」38歳女性、「自分で考えられない」45歳男性…学生時代の“正しさ”から抜け出せない大人の苦しみ

「しんどくても休めない」38歳女性、「自分で考えられない」45歳男性…学生時代の“正しさ”から抜け出せない大人の苦しみ

◆なぜ「学校後遺症」が生まれる?

 なぜ、学校後遺症が生まれるのか。「学校という制度そのものが社会のモデルとして機能している以上、避けては通れない」と鳥羽氏は指摘する。

「空気が保たれないと授業が成立しないという前提があるなかで、先生も生徒も空気を作る訓練をしています。その構造が社会に持ち込まれることで、序列や規律を守る文化が固定化される。結果、学校後遺症が、会社組織や家庭などあらゆる場で再生産されてしまうのです」

学校後遺症の弊害のひとつは、出会いの機会を失うこと。「学校での勉強やスポーツとの出会い方が悪かったがゆえに、『嫌い』『苦手』と思い込んでしまう。これは機会の損失ですよね」
 だが、この問題は、特定の誰かの責任ではないという。

「家庭も学校も、毒もあれば宝もある場所だと僕は思っています。親も学校の先生も含めて、みんなその構造のなかでやっているだけ。誰かが悪いわけではない。ただ一方で、学校組織の問題点が変わらない以上は、学校後遺症が完全になくなることはないでしょうね」

◆「後遺症に気づくだけ」でも大きな第一歩に

 では、自らの学校後遺症とはどう向き合えばいいのか。それに対して鳥羽氏は「まずは自覚するだけで十分」だと語る。

「『ルールを守らないと仲間外れにされる』『発表会で笑われて人前に立つのが苦手になった』。こうした学生時代の経験が、大人になったときの不安や恐れに直結している。それに気がつくだけでも、物事の見方は変わるし、行動も変わっていくはずです」

 学校が残した影響を否定するのではなく、自覚すること。それこそが、自らの生きづらさを見直す最初の一歩になるのかもしれない。

鳥羽和久氏
1976年生まれ。寺子屋ネット福岡代表・作家。近著に『それがやさしさじゃ困る』(赤々舎)。その他著書に、『おやときどきこども』(ナナロク社)、『親子の手帖』(鳥影社)、『君は君の人生の主役になれ』(筑摩書房)などがある

取材・文/藤村はるな 撮影/朝山啓司

配信元: 日刊SPA!

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