◆なぜ「学校後遺症」が生まれる?
なぜ、学校後遺症が生まれるのか。「学校という制度そのものが社会のモデルとして機能している以上、避けては通れない」と鳥羽氏は指摘する。「空気が保たれないと授業が成立しないという前提があるなかで、先生も生徒も空気を作る訓練をしています。その構造が社会に持ち込まれることで、序列や規律を守る文化が固定化される。結果、学校後遺症が、会社組織や家庭などあらゆる場で再生産されてしまうのです」

「家庭も学校も、毒もあれば宝もある場所だと僕は思っています。親も学校の先生も含めて、みんなその構造のなかでやっているだけ。誰かが悪いわけではない。ただ一方で、学校組織の問題点が変わらない以上は、学校後遺症が完全になくなることはないでしょうね」
◆「後遺症に気づくだけ」でも大きな第一歩に
では、自らの学校後遺症とはどう向き合えばいいのか。それに対して鳥羽氏は「まずは自覚するだけで十分」だと語る。「『ルールを守らないと仲間外れにされる』『発表会で笑われて人前に立つのが苦手になった』。こうした学生時代の経験が、大人になったときの不安や恐れに直結している。それに気がつくだけでも、物事の見方は変わるし、行動も変わっていくはずです」
学校が残した影響を否定するのではなく、自覚すること。それこそが、自らの生きづらさを見直す最初の一歩になるのかもしれない。
鳥羽和久氏
1976年生まれ。寺子屋ネット福岡代表・作家。近著に『それがやさしさじゃ困る』(赤々舎)。その他著書に、『おやときどきこども』(ナナロク社)、『親子の手帖』(鳥影社)、『君は君の人生の主役になれ』(筑摩書房)などがある
取材・文/藤村はるな 撮影/朝山啓司

