◆留年を恐れた結果、寝酒が習慣化
話は戻るが、明け方まで眠ることができないのが常だったため、大学生になっても9時半から始まる1限の時間にまず起きることはできなかった。しかも、この時間帯の講義は大体必須科目であり、寝坊して単位を落としたら再履修。それをまた落とせば再々履修。さらに、4年生になっても取れなければ再々々履修となり、それでも単位取得できなければ卒業できないのである。中には3年生に進級する前までに取得できていないと、留年してしまう科目もあった。ちなみに、自分の専攻の専門講義を指す「必修科目」ではなく「必須科目」である。要は「体育」や「語学」のことだ。そんなものを落として、留年なんてしたら親に怒られる……。
そこで、あるときから決心して、芋焼酎をコップに並々注いで飲んで、酔っ払って眠ろうとしていた。そのことを父に話したところ、留年しそうなことに関しては何も言われなかったが、飲酒行為は心配された。
「それはナイトキャップになってクセになるから、気をつけろよ」
当時はその意味がよくわからなかったが、社会人になってその意味が、心の底から理解できるようになった。
◆酩酊状態で公園で爆睡。待ち受けていたのは…
夜眠るためにひとりで酒を飲んでいたのは確かだが、それとは別に飲み会やコンパなど、季節ごとに仲間たちと飲むのが楽しかった。
新歓コンパ、夏合宿、花火大会、納涼祭、タコパ、学園祭、忘年会、新年会、追い出しコンパ……。気心の知れたサークルのメンバーたちと飲むことが、とにかく好きだったのだ。
「今日は飲み会があるぞ!」
自分の許容範囲を超えて飲んで居酒屋で叫ぶ者たち、彼氏・彼女との別れ話で泣き出す者たち、中華料理屋でゴマ団子を投げ合っている先輩と後輩……。それら、すべてが愛おしく、飲み会には「非日常」があった。
筆者はどの席でもビール(発泡酒)のピッチャーを置いてもらえれば、先輩・後輩関係なく会話することができた。社会人になった今では考えられない3000円飲み放題、テーブルには安くて大しておいしくない揚げ物が並ぶ。それでも、自分も周りも飲んで騒ぐことができる場がとにかく好きで、飲み会の日は浮き足立っていた。
しかし、当然ながら何度も失敗してきている。飲みすぎて外置きの洗濯機に「くの字」で寝てしまったり、酔いつぶれてほかのメンバーたちに迷惑をかけることが何度もあった。
とある、コンパの帰り道、泥酔して公園で寝てしまう。目が覚めたら家には帰り着いていたのだが、カバンを失くしてしまった。中には財布と現金、iPodクラシックなど大事なものが入っていたため、「参ったな……」と思いながら最寄り駅に連絡を入れ、寝てしまった公園などをぐるぐる回ったが見つかる気配はない。なんとか携帯は手元にあったので、まだマシかと思っていたら、突然知らない番号から電話がかかってきた。
「こちらは〇〇警察署です。今すぐ本署まで来てください」
カバンが見つかったのかと思い、呑気に警察署に向かったら、取調室に入れられた。え?
前日のカバンを失くすまでの経緯を根掘り葉掘り聞かれ、それを警官がその場でタイピングして調書ができあがる。すると、ようやく失くしたカバンと対面することができたが、残念ながら現金とiPodは抜かれていた。
「痛いな……」
軽音サークルの定期ライブが近かったため、多めに下ろしていたのだ。
最後にブラインド越しに小さな部屋の中にいるおじさんを見せられた。「この人物を知っていますか?」と言われたが、知るわけない。
「彼はあなたのカバンを置き引きした犯罪者です」
まさか、自分が酔い潰れたせいで人が逮捕されるとは……。それでは、現金とiPodもこの人が盗んだのかと聞いたら、どうやらおじさんが筆者のカバンを「隣町の公園」で盗んだときには、すでに金とiPodは入ってなかったという。この国の治安はどうなっているんだよ。

