◆「言いに行くしかない」しかし隣人は耳が遠く…
眠れぬ夜を過ごした翌朝、細川さんは意を決して隣家を訪ねました。「正直、すごく気まずかったです」と当時を振り返ります。相手は高齢のご夫婦。強く言えば角が立つ。かといって我慢し続ける自信もなかった細川さん。
「昨夜、室外機の音がかなり響いていて……」
そう切り出しても、相手の反応は鈍かったといいます。耳が遠いようで、何度か説明してようやく状況が伝わる程度。ご主人は困ったような顔をして、「そんなに音がしてましたか」と首をかしげたそうです。
「悪気がないのは分かるんです。だから余計にそれ以上言いづらくて……」
結局、細川さんは自費で対策を講じました。隣家の室外機が設置されている場所に面した位置に塀を設け、少しでも音が遮られることを期待しました。確かに高音は軽減されましたが、地鳴りのような低音は相変わらずでした。
「耳栓をして寝る日が増えましたね」
◆最後の砦は市役所への相談
現在、細川さんは市役所に足を運び、今回の騒音問題について相談をすることにしました。しかし、環境課から返ってきた言葉は「当事者同士で話し合ってください」だったそうです。
「家を買う前は、隣の室外機の位置とか、エアコンの古さまで気にするなんて思わなかったです。エアコンの室外機って、古いモデルだと経年劣化で騒音がひどくなる傾向があるみたいなんです」
後の祭りだと分かっていながら、そう語る声には悔しさが滲んでいました。昼間は問題なくても、夜の静寂の中ではわずかな音が増幅され、生活の質を確実に削っていきます。
「家を購入する際、本当に多くの事前チェックが必要だと痛感しました。今回の室外機騒音もしかり、私の友人から聞いた話では、可能であれば真夜中や早朝なども周囲の環境や状況をチェックする必要があるそうです。
実際、その友人の隣人は真夜中にボーカルの練習を始めるらしく、歌っている声が丸聞こえなんだそうです」
その後、細川さんは老夫婦宅に遊びにきた息子夫婦と話す機会があり、赤裸々に現状を説明すると、近々エアコンを新調してくれることになったそうです。
<TEXT/八木正規>
【八木正規】
愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営

