【恵比寿笑い】名に福を宿す塊根植物パキポディウム・ブレビカウレの魅力を紐解く!

【恵比寿笑い】名に福を宿す塊根植物パキポディウム・ブレビカウレの魅力を紐解く!

恵比寿笑Top

福を呼ぶ和名を持つ塊根植物「恵比寿笑い」。縁起物としても愛される理由や、自生地マダガスカルの風景から見えてくる唯一無二の姿など、パキポディウム・ブレビカウレの奥深い魅力に迫ります。編集部員Kを魅了してやまないこの塊根植物は、初めて対峙した瞬間の印象がとにかく鮮烈!ぜひ、この不思議な魅力の正体を確かめてみてください。

恵比寿笑い(パキポディウム・ブレビカウレ)とは?

実生恵比寿笑い小苗

こんにちは、編集部員Kです。
今回の「多肉植物狂い」では、縁起のよい名前を持ち、私自身も大好きな植物、“恵比寿笑い”ことパキポディウム・ブレビカウレの魅力を、じっくりと掘り下げていきたいと思います。

扁平でどこか愛嬌のある塊根の姿、そして「恵比寿笑い」という日本ならではの名前。
見れば見るほど不思議で、知れば知るほど奥深い。そんな恵比寿笑いの世界を、実体験を交えながらご紹介します。

編集部員Kと恵比寿笑いの出会い

私(以下筆者)が初めて恵比寿笑いに出会ったのは、2020年1月。
年明け早々に訪れた、お馴染み関さんのお店ガディンツキープランツの前身となる「フラワーガーデン・セキ」で目に飛び込んできたのが、このぼてっとした独特のフォルムをした恵比寿笑いでした。

実生恵比寿笑い
購入直後の写真。塊根直径は4.5cmほどであった。

その姿に一瞬で心を掴まれたのはもちろんですが、なにより「恵比寿笑い」という名前が、新たな年の幕開けにこれ以上ないほどしっくりきたのです。
これはもう縁だろう、と。
そうして恵比寿笑いは、2020年最初の植物として我が家に迎えられることになりました。

それ以降、この植物の最大の魅力である「一つとして同じ形が存在しない」ということにすっかり心を奪われ、春を迎える頃には、気がつけば手元に3株。
私の塊根植物遍歴のスタートダッシュを支えてくれた存在こそ、この恵比寿笑いだったのです。

恵比寿笑いの基本情報

恵比寿笑いを直上から
  • 科属: キョウチクトウ科(Apocynaceae)パキポディウム属(Pachypodium)
  • 学名: Pachypodium brevicaule Baker
🔍【学名の由来】
  • 和名:恵比寿笑い  
🔎【「恵比寿笑い」という名前の由来】
  • 原産地:マダガスカル|中央高原の高地に位置する首都アンタナナリボ南部からイトレモ山地周辺にかけた、標高約1,200〜2,000mの岩山地帯に点在して自生。
  • 形態: 多年生の塊根性低木 / 夏季成長型(実生株) / 冬成長型(現地球)
  • 園芸分類: 多肉植物・塊根植物(コーデックス)
  • 開花時期(園芸下): 春〜初夏(3〜5月頃)。冬季は室内管理となるため、温度や日照条件が整えば12月〜翌年1月に開花することもある。
  • 成長速度: ゆるやか
  • 草丈・樹高(園芸下):5〜10cm前後 
  • 耐寒性: 弱い(12℃以上を推奨)
  • 耐暑性: 強い(高温・乾燥を好む)
  • 葉: 緑〜濃緑、楕円形で、表面の感触は皮革のような感じ
    恵比寿笑いの葉
  • 花色: 黄色
    恵比寿笑いの花
  • その他: 2015年にIUCNにより – “脆弱” に指定。人為的な絶滅リスクが高いと評価されている。

    に掲載されているため、種の保全のため国際取引にはCITES許可証が必要。ただし、人工的に繁殖された園芸個体については規制の対象外。

パキポディウム属の中での唯一無二の存在感

唯一無二の扁平太

恵比寿笑いが「唯一無二」と評される理由は、その極端な形態の特異性にあります。
グラキリスにウィンゾリー、ホロンベンセなど、パキポディウム属の多くは、乾燥地帯で生き抜くために幹を肥大させ、水分を内部に蓄える進化を遂げてきました。
しかし恵比寿笑いは、その貯水組織を地表近くに扁平化させるという、きわめて特殊な方向へ進化しています。
その結果生まれたのが、岩のように低く、重心の安定した塊根フォルムです。
これは見た目のインパクトだけではなく、過酷な自生環境に適応した合理的な形でもあります。

グラキリスと恵比寿笑いの実生株対比
ほぼ同年代の実生株同士、グラキリスと恵比寿笑いを比べてみると、成長のベクトルがどの方向に向かっているかが分かる。
🔍【なぜ扁平なの?】

トゲも独特な雰囲気をまとう

恵比寿笑いのトゲ

トゲというとサボテンのトゲのような鋭いものを連想するかもしれませんが、恵比寿笑いのトゲは、サボテンほど鋭くなく、先がわずかに尖った太く柔らかい“突起物”といった印象です。
ほかのパキポディウムは、間隔を空けながらボディ全体を覆うのに対し、恵比寿笑いのトゲは成長点付近に、まるでブラシのように集中して生えています。

このトゲについては、現時点で明確にその役割を示した論文や研究結果は確認されていませんが、鳥獣による食害から新芽や成長点といった柔らかく栄養価の高い部位を守るために発達した防御機構の一つと考えられています。
また、乾燥した高地で水分を効率的に留める役割もあるのではないかともいわれています。

恵比寿笑いが人気の理由

独特なキャラ

恵比寿笑い最大の魅力は、なんといってもその扁平で個性的な塊根フォルムですが、この形状が人によってさまざまなキャラを連想させることでしょう。

恵比寿笑はスライム似
某ゲームの”あのキャラ”にも似ている。

若い株は比較的整った、牡丹餅のような形をしているのですが、成熟していくにつれて個性をあらわしていきます。
上の写真は実生4年目の筆者所有株ですが、この時直径6cm。
そこから3年ほど経過したものが下の写真。
直径12cmに倍加し、見た目も、もとのひょうきんな形から、まるでゴジラ映画の怪獣のような形へと変化しました。

恵比寿笑実生株直径12cm

ボディからランダムに成長点が出現する成熟株は、側面を回しながら、そして上からと、少し角度を変えて眺めると、まったく違った表情を見せてくれます。
そんな「劇的に変化する姿を鑑賞する楽しさ」が、恵比寿笑いには詰まっています。

実生株と輸入株を見比べ候
左:国内実生株と、右:マダガスカルより輸入された恵比寿笑いの現地球。まったく個性の異なる双方を見比べるのも楽しい。
双方とも個人的には真上からのViewが好きだ。

縁起植物」としての存在感

開運恵比寿笑い

「恵比寿笑い」という名前も、この植物が愛される大きな理由の一つです。
七福神の一柱である恵比寿様を連想させるその響きは、福を呼び、笑顔をもたらす縁起植物(縁起物)としても、古くから日本人の感性に寄り添ってきました。
丸みを帯びた塊根の姿は、どこか人の顔のようにも見え、にこやかに微笑んでいるような印象を受けることもあります。

また、そのゴツゴツとした岩のようなボディから黄色い花を咲かせたときの優雅さは格別で、しかも黄色い花は風水では金運や安定を象徴するとされているため、開運の予感さえ感じさせます。

開運の黄色花

こうした造形や花姿、そして名前が見事に一致している点こそ、恵比寿笑いことパキポディウム・ブレビカウレが「日本で特別な存在」となった理由といえるでしょう。

☯【風水学のプロが紐解く恵比寿笑い】

恵比寿笑いに託す、新しい門出

新年の節目や引越し、開店祝いなど、「引越しおもと」に代表されるように、日本では古くから、よい流れを呼び込みたい場面に植物を贈ったり、自分用に迎え入れたりする習慣があります。

恵比寿笑いも、そうした用途で選ばれてよい植物ですが、現時点ではまだその認知は高くなく、実際に吉兆目的で買い求める人は多くありません。
この記事を通じて、今後、観葉植物の世界にとどまらず、多肉・塊根植物の分野においても「門出の恵比寿笑い」という考え方を提案し、その価値が広く共有されていくことを願っています。

門出の恵比寿笑い

見た目に反して育てやすい!

見た目のインパクトとは裏腹に、恵比寿笑いは比較的育てやすい塊根植物です。
詳しい育て方は後述しますが、基本的に高温と日光を好むため、成長期にはしっかりと光を確保し、水やりを控えめに行うことで、安定した生育を見せてくれます。

実生株であれば、初心者でも無理なく育てられる点も魅力で、塊根植物に初めて挑戦する人にとっては、「少し背伸びをすれば手が届く存在」として選ばれる理由にもなっています。

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