今週のテーマは「マッチング後、一度のデートで終了した理由は?」という質問。さて、その答えとは?
▶【Q】はこちら:マッチング後、2回目のデートがないワケ。男が初デートの時に気を付けるべきことは?
宏樹との初デートの食事を終えたあと、二人で大通りまで歩きながら、私は色々と考えていた。
「宏樹さん、ごちそうさまでした」
「すっごく楽しかったです。またすぐに会いましょうね」
“すっごく”楽しかったかと言われると、ちょっと微妙だ。楽しくなかったわけじゃないけれど、そこまで盛り上がったわけでもないと思うから。
「そうですね。ただ、3月は仕事が忙しいので…。4月とか?」
「わかりました、じゃあ4月になったらすぐに」
「そうですね。じゃあ私はここで」
こう言って、私はタクシーに乗り込んだ。
いい人だし優しいし、年収だって肩書だって悪くない。32歳、金融系勤務の宏樹。
でも、私はたった一度のデートで「ちょっと違うかな…」と思ってしまった。
いい人なのに、二度目のデートに進まない人がいる。それはなぜか?
そこにはデートに至るまでの過程と、デート中の彼の言動に理由があった。
宏樹と出会ったのは、マッチングアプリだった。彼氏と別れ、真剣に彼氏…その先の結婚までを考えられる相手を探していた私。
そんな時、メッセージをくれたのが、宏樹だった。
― ヒロキ:初めまして!お綺麗な方だったので、メッセージを送らせていただきました。現在丸の内に勤めている32歳で、ジムと犬が好きです。たくさんメッセージ来ていると思いますが、お話しできると嬉しいです。
丁寧すぎるくらいの内容のメッセージに、思わず微笑んでしまった。彼のプロフィールを見ると、金融系勤務の32歳で、サッカーをしている写真や旅行の写真が並んでいる。
素敵な感じがしたので、返信をした。
― 亜子:初めまして、メッセージありがとうございます。犬、お好きなんですね。何か飼われていますか?私はオフィスが虎ノ門なのですが、タイミング合えばぜひ会いましょう。
正直、メッセージのやり取りを、ダラダラと続けるのは好きではない。
早めに会って、早めに判断したい。
それが私の信条だったので、すぐに会う提案をした。
ここまでは、順調だった。
彼からのメッセージ内容も、いつも丁寧で、人柄が伝わってくる。急に馴れ馴れしくもなったりせず、適度な距離感を保った感じで、「誠実な人なんだろうな」と思っていた。
しかしデートの三日前になっても、前日になっても、宏樹から、デートの場所の情報が何も送られてこない。
― あれ?明日だよね?
そう思いっていると、前日の夜。ようやく、宏樹から連絡が来た。
― ヒロキ:明日、何系が食べたいとかありますか?あと場所なのですが、恵比寿でもいいですか?
私の家が中目黒だと伝えていたので、場所は配慮してくれたのだろう。それは嬉しい。でもそれよりも、私は宏樹のこのメッセージを読んで、思わず「え…?」と声が出た。
― 亜子:恵比寿、助かります!ありがとうございます。何系でも良いのですが…和食とか?
― ヒロキ:和食ですね、わかりました。お店、探しておきますね
「今からお店探すの?」
デートは明日の夜だ。今日はもう、20時を過ぎている。気合が入ったデートだったら、もう少し早めにお店を決めると思う。
ー あれ?もしかして、ちょっと蔑ろにされてる?
そう思った。そして結局、宏樹からお店の連絡が来たのは、翌朝。つまり、デート当日の朝だった。
― ヒロキ:本日、こちらに19時半でお願いします
― 亜子:おはようございます、わかりました。では19時半に!
何だろうか、この微妙にモヤっとする感じは。「別に当日連絡でも構わない」という女子もいると思う。
でもお店に合わせた洋服や、靴を脱ぐのか、脱がないのか…など、できればデート前日までに決めておきたいもの。
それに当日まで何も考えていなかった、ということも少し気になる。
とはいえ、宏樹の性格だから仕方のないことかもしれない。そう思って、切り替えて私はデートに挑むことにした。
そして指定されたお店へ行き、少し早く着いたのでスマホをいじりながら待っていると、宏樹がやってきた。
「初めまして、宏樹です」
「初めまして、亜子です」
ただ、私たちの約束は19時半だったのに、微妙に遅刻をしてきた宏樹。
5分くらいの遅刻だったのでいいけれど、何にも連絡はなかった。
「待たせちゃいましたか?すみません」
「いえいえ、ちょっと早く仕事が終わっただけなので」
5分以上遅れるならば、さすがに彼も連絡をしてくるだろう。しかし3〜4分くらい遅れる場合、連絡をするか、しないか…。
そのあたりは、その人の人間性による。
ただ私だったら、もし仮に3分でも遅れるならば、ちゃんと連絡を入れる。相手に対しても失礼だと思うし、初デートに限っていうと、最低限のマナーの気もする。
― こんな細かいこと気にしていたら、キリがないよね。
そう思ったので、笑顔で一旦受け流し、デートを楽しむことにした。
しかしお互いにビールで乾杯を済まして話し始めたのだけれど、デート開始からすぐ、思わず一緒にいるのが少し恥ずかしくなるようなことが起こった。
まず、宏樹が予約してくれていたのは、カウンター席だった。それは良い。テーブル席で、初めて会うのにいきなり対面だと少し緊張するし、話しにくさもあるから。
でも問題は、宏樹のカウンター席での言動にあった。
「亜子さん、お綺麗ですね!アプリで見た時から、思っていたのですが」
「そんなそんな…」
「亜子さんは、どうしてマッチングアプリを使っているんですか?必要なさそうなのに…」
― ちょっと、声が大き過ぎませんか?
静かな和食のカウンター席で、“マッチングアプリで出会って今日が初対面”を連呼されるのは、少し恥ずかしい。
大将や周りの方にもあまり話を聞かれたくないし、「あ〜この人たち、今日が初デートなんだ」と、周囲の方の耳がこちらに向いているのが伝わってくる。
だから私は極力小声で話そうと試みる。けれども、宏樹はまったく気がついていない様子だ。
「亜子さん、ごめんなさい。何ておっしゃいましたか?」
「あ、声小さかったですか?カウンター席だし、他のお客様もいるので大きな声は迷惑かなと思って」
「そうですよね。さすがの気遣いです」
「いえいえ。で、何の話でしたっけ?」
「なんでマッチングアプリを使っているんですか?という質問でした。でも、話したくなければ、本当に大丈夫です」
「そうでしたね。私は周りもみんな使っているし、真剣に良い人を探したくて。宏樹さんは?」
ただ、彼に悪意はない。そもそもマッチングアプリ自体、今時主流の出会いだし、何も恥ずかしいことはない。
ただ、初デートだと周囲にバレバレなのが妙にくすぐったい。
「僕も同じです。真剣に、結婚できる相手を探しています」
「宏樹さんも、出会いとかありそうなのに」
「僕は周りがほぼ結婚していって、全然出会いがなくなりました。なのでアプリを使うことにしたんです。でも亜子さんのような素敵な方に会えて、嬉しいです」
それに、宏樹はいい人なんだと思う。優しいし、誠実だ。
のびのびと育ったお坊ちゃまなのか、周囲を疑うこともしなさそうだし、付き合ったらとても優しくて良い彼氏になると思う。
でも初デートの場所やお店が決まるまでの連絡の遅さと、デート中の認識のズレがとにかく気になった。
「宏樹さんって、いい人ですよね」
きっと彼の、この“微妙な認識のズレ”が気にならない人もいると思う。大きなことではないし、とても些細なことだから。
でも私からすると、少しでも遅れるなら、ちゃんと連絡をするとか、デートのお店は早めに決めておくとか…。
せっかちな性格ということもあるけれど、事前に色々と決めておきたいことがある。
「亜子さん、すごく楽しいです。初対面でこんなこと言うのもアレですが、また会えたら嬉しいなと思います」
「本当ですか?嬉しいです」
― いい人なんだけどな…。
そう思いながら、私は一旦、“彼とは次に進まない”という選択をした。
▶【Q】はこちら:マッチング後、2回目のデートがないワケ。男が初デートの時に気を付けるべきことは?
▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟
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