「職種別労働組合」の存在が残業の抑止力に
そのような例外的なケースはあるものの、なぜスウェーデンの企業では一般的に残業がないのか。
これには、スウェーデンでは歴史的に企業をまたいだ職種別労働組合の力が強く、長年続いた社会民主労働党政権と共に労働環境の改善に力を注いできたという背景がある。
職種別労働組合というのは、法務を扱う仕事をする大卒社員のための組合、経済系の仕事をする大卒社員のための組合、ITをはじめとする技術系の仕事をする大卒エンジニアのための組合、といった具合に職能ごとに産業や企業の垣根を超えて組合が存在しているということだ。
ここ数十年は加入する労働者の割合に減少が見られるが、ブルーカラーの労働組合だけでなく、ホワイトカラーや管理職を対象とした労働組合も、社会の中で大きな発言力を持っている(私も大学で働いていた頃は経済学部や法学部の大卒者を中心とした労働組合に所属し、今は大卒エンジニアなどの技術者を対象とした労働組合に所属している)。
また、サービス残業はしない、働いた分の対価はきちんと得るなどといった働く人ひとり1人の権利意識も高いうえ、転職がしやすい流動的な労働市場であるため、長時間の残業をさせるようないわゆるブラック企業からは人材が逃げ出してしまうことになる。
だから、企業は労働環境を整えざるを得なくなる。
佐藤 吉宗
SEB
シニア・データサイエンティスト
