東大生が「AIのせいで若者の頭が悪くなっている」という意見に反論。「読書はタイパ悪い」新世代の勉強法

東大生が「AIのせいで若者の頭が悪くなっている」という意見に反論。「読書はタイパ悪い」新世代の勉強法

―[貧困東大生・布施川天馬]―

 2月24日、全国大学生活協同組合連合会が昨年秋に実施した学生生活実態調査の結果を発表しました。

 中でも目を引いたのは「1か月あたりの書籍費」が月1,000円を下回った点。

 物価高の影響などが考えられますが、それ以上に気になるのは「大学生の本離れ」でしょう。

 私自身、今でこそ毎月数冊の本を買ってきて読み進める習慣がつきましたが、大学生当時はお金に余裕がなくて、数か月に一度だけ本屋に行っては選び抜いた一冊を購入していたように記憶しています。

 今回のアンケート結果を受けて、緊急で東大・早稲田・慶応義塾大学の学生15人に話を聞いたところ、うち5人が「月当たりの書籍購入費用が1,000円を下回る」と答えました。

 しかも、その5人は全員東大生・東大院生だったのです。

 そこで、匿名を条件に取材を受けてくれた現役東大法学部生の井上さん(仮名・20代)に話を伺ったところ、金銭面とは全く無関係の「本を読まない理由」が見えてきました。

 Z世代のリアルな読書観に迫ります。

読書に割く時間がもったいない
※画像はイメージです

◆読書に割く時間がもったいない

ーー月当たりの書籍費が1,000円を割っていると回答されていましたが、どれくらいの頻度で本を買いますか?

井上:最近は、数か月に一冊買えば多い方です。大学に入ってからは、とんと本を買う機会が減りましたね。

 もともと、中学・高校に通っていた時はむしろよく本を読む方でした。月に数冊、多い時だと十数冊程度は読破していた。

 ミステリ小説が好きで東野圭吾作品を手に取ったり、ラノベ推理小説の『氷菓』などがお気に入りでした。また、中学くらいになると親が買ってきた本にも手が伸びるようになり、『七つの習慣』『思考は現実化する』など自己啓発系のビジネス書も好んで読んでいましたね。

 ただ、東大に合格して、上京してからはそもそも本屋に寄らなくなりました。当たり前ですが、本を買うにも金がかかる。入学直後に支出を確認しながら「本に回すお金の余裕なんてない」と痛感したことを思い出します。

 今ではやりくりの方法も覚えて、バイトも増やして、生活は安定してきました。ですから、現在は「本屋に行けない」のではなく、「行かない」んです。

 本を読む習慣が消えてしまったこともそうですが、それ以上に「読書に割く時間」がもったいないと感じる。

◆AIで賢く時間を活用

ーー確かに、早期化する就活や大学在学中の課外活動などで忙しい方は増えました。とはいえ、大学のテスト勉強など、どうしても本を読まざるを得ないタイミングもあるのではありませんか?

井上:いいえ、私自身もそうですが、最近の大学生はみんなAIを活用して情報を処理しています。

 テスト勉強でいちいち本を読むよりも、授業中の先生の話を録音して、書き起こしを作ってもらい、それをAIに読み込ませて要約させるほうが、楽だしわかりやすいからです。

 もちろん、サボっているわけではありませんよ。サークルやバイトなど、卒業後の進路を見据えて様々な活動に手を出すと、どうしても時間が足りなくなるんです。

 早起きしているわけではありませんが、それでも23時以降に帰宅するのも当たり前で、そこから本を読み込んで情報を取り出して……なんてやっている暇がない。飲み歩いているわけでもなく、むしろそうして遊び惚けている学生が羨ましいくらいです。

 サークル活動も固定練習は週に一度と少ないですが、個人練習をしたり、運営のための細々した仕事があったりと、なんだかんだ毎日4~5時間くらいは取られてしまう。これに移動時間や講義時間を足すと、もういくらも自由時間はない。

 でも、少ない時間で成績を取らないといけないわけで、そうなるとAIに情報を抽出する作業を委託したほうが、効率がいい。タイパを意識した結果、そうならざるをえないんですね。

 ですから、以前は金銭的な理由から避けていた本を、タイパ不足で避けるようになりました。

 気になる本があっても、AIに「どんな話かネット上の意見をまとめて教えて」と聞けばざっくりわかるし、YouTubeのまとめ動画から内容を得る方法もある。わざわざ文字を追って情報を得るより、ずっとお手軽ですよね。


配信元: 日刊SPA!

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