東大生が「AIのせいで若者の頭が悪くなっている」という意見に反論。「読書はタイパ悪い」新世代の勉強法

東大生が「AIのせいで若者の頭が悪くなっている」という意見に反論。「読書はタイパ悪い」新世代の勉強法

◆AI利用=成績不良ではない

ーー世間では、AIを活用した学習に対して「読解力や思考力の低下」を懸念する意見が多いと感じますが、成績は維持できているのでしょうか?

井上:とんでもない。むしろ、上がっていますよ。

 私はAIに全部丸投げしているわけではなく、あくまで情報抽出の作業をAIに任せているだけなんです。各情報の裏もしっかり取りますし、それらの解釈や理解にかける時間はしっかり確保しています。

 時間ばかりかかって、体力をどんどん削られてへとへとになってから考え始めるよりも、サクッとAIにまとめさせて、余った時間と体力で効率よく勉強したほうが、結果は出そうですよね。

 実際に、私は2年生までの前期教養課程の成績でほぼ優、悪くても良を記録しています。成績不良どころか、むしろ優秀者に入るんじゃないでしょうか。

 本を読んでも、結局忘れていくわけで、読み返して定着させる必要が生じます。ただ、その際に忘れていない箇所も読まないといけず、無駄な読み返しの分だけ時間と体力は失われていく。

 それならば、AIで情報をかき集めてから、ざっくり自分で要点をとらえられるようにまとめなおす勉強法を取ったほうが、ずっと時間を有効に使えるのではないでしょうか。正直なところ、テスト対策の勉強程度ならば、本を読む必要を感じないのが本音です。

◆AIに振り回されてしまう危険性も

 井上さん曰く、「インカレサークルの学生たちを見る限りでは、東大以外でもAI利用は当たり前のように行われている」といいます。

 確かに私もざっくりとした所感を確かめるための簡単なリサーチはAIに任せますし、それで面白そうなテーマを見つけたら自分で本腰を入れて確かめるようになりました。

 とはいえ、AIはハルシネーション(AIがそれらしい嘘をつくこと)がつきもの。かつて日本のネットを席巻した匿名掲示板「2ちゃんねる」開設者のひろゆき氏は「うそはうそであると見抜ける人でないと(掲示板を使うのは)難しい」という名言を残しました。

 当時よりもネット人口が増え、さらに息をするように嘘をつくAIへ誰でも容易にアクセスできる現代では、この名言の価値が相対的に上昇したようにも感じられます。

 成績も良好で、タイパ良好な生活を送っている井上さんですが「長文を読む力は落ちた」とも語ってくれました。論文やレポートを読むにも、昔より疲れを感じやすくなったのだとか。

 AIによって、我々は大きな進歩を遂げています。ただし、その分だけ「人間であること」の必要性は減少しており、一定以上のスキルを持っていない方が一斉に足切りを受ける危険性も見えてきた。

 個人的には「AI利用」自体に反対はしませんが、「必ず自分でもできること」だけをAIに任せるように区切りをつけなければ、自分の能力を実際以上に見積もってしまう危険性があるのではないかと感じます。

 少なくとも、今回の方法論は、井上さんの能力をもってすれば可能なだけであり、一般性はないでしょう。

 AIに振り回される人材ではなく、AIを振り回す側につくためには、結局地道で泥臭い努力が避けて通れないのではないでしょうか。

<取材・文/布施川天馬>

―[貧困東大生・布施川天馬]―

【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。MENSA会員。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)
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