◆生誕祭の3日後に「クビ」

「ゴキブリを食べる動画が流行っていて、“波に乗っていこう”という流れになりました。基本的には運営の方針に従う形でしたが、私はどうしても抵抗があり、別の個人仕事を入れて参加は見送らせていただきました」
企画自体は大きな反響にはつながらず、現場の空気にも少しずつ変化が生まれていったという。動員は伸び悩み、藤田さんは「状況の難しさを感じていた」と振り返る。
「話題づくりも大切ですが、長く続けていくには今いるファンの方を大切にすることが必要だと感じていました。その思いは、わたくしなりに伝えていたつもりです」
しかし、生誕祭から3日後、藤田さんは「方向性の違い」ということでグループ脱退を告げられる。
「レッスン後に呼び出され、今日でクビと伝えられました。理由を尋ねても“決定事項だから”という説明で、頭が追いつきませんでした。前日にはオフ会で社長とファンの方が『これからもよろしくね』と声をかけてくださっていたんです。それだけに戸惑いが大きくて……。あの日の空がすごく青かったことを覚えています」
急な出来事に心の整理がつかないまま、グループを離れることになったという。
◆トンチキな過去さえも自分の歴史として“糧”に

「ただ、そんな状況でもこのままでは終わりたくなかった。だから、アイドルの肩書きを無くして、代わりに何かひとつ肩書きを作って、わらしべをしていこうと考えました。何者かになるには、ライバーがまず第一歩だなと配信を始めました」
金銭的に困窮し、パックごはんしか食べられなかったことや、穴があいた靴下を縫っていたことなども全てネタにしたようだ。
「ひとつの肩書きを得たら、全力でわらしべして、次の肩書きを手に入れる。ライバー、グラビアを経て、インフルエンサーの収益だけで生活していけるまでになりました。今後はグラビアの活動は終了する予定です。
ツラいことやクビになった経験があるからこそ、今のわたくしがあるんです。こういった取材のときに話すとだいたいウケるので、トンチキな過去があってよかったとさえ思います。それも含めて全てが自分の歴史として“糧”になっていますね」

<取材・文/吉沢さりぃ、撮影/長谷英史>
―[藤田シオン]―
【吉沢さりぃ】
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。X(旧Twitter):@sally_y0720

