なぜ日本の「保守」は世界と噛み合わないのか…欧米保守との“決定的な違い”

なぜ日本の「保守」は世界と噛み合わないのか…欧米保守との“決定的な違い”

◆日本と欧米での「保守」の概念の違い

元来、近代の政治における「保守」と「革新」の概念は欧州で生まれたものである。

「保守」は王党派を支援する派閥、つまり教会や王を社会の権威として維持しつつ穏やかな変化を実現していく人々であり、「革新」はそれらを排除して急激な変化を求める人々のことであった。王がいない開拓地のアメリカの人々も、大枠ではこの考え方を受け継いでいる。

一方、文明開化を経て近代化した日本では、保守は大枠では従来型の体制を維持する考え方であったが、日本人にとってそもそも生活や体制を変えないこと自体が長年の「常態」であり、変えないことが正常かつもっとも合理的な考え方であった。
皇室の維持が前提であり、明治以後は形は変わったものの、社会の権威や伝統はそのまま維持された。皇室の廃止や秩序の完全な放棄は、議論にすらならなかった。過激派は社会の極小数であり、大衆は支持しなかった。

したがって、欧州人やアメリカ人が意味する「保守」と、日本人が意味する「保守」は、その根本が異なっている。しかし、日本で「保守」と「革新」の議論を繰り広げる人々は、この前提を十分理解していない。それは彼らのほとんどが、「保守」と「革新」の近代政治の定義を生み出した欧州人やアメリカ人と生活を共にしたことがないからだ。そのため、議論の根底がズレているのだ。この決定的な認識のズレについて、次回さらに考察していく。

<文/谷本真由美>

【谷本真由美】
1975年、神奈川県生まれ。ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関、外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。日本、イギリス、アメリカ、イタリアなど世界各国での就労経験がある。主な著書に『世界のニュースを日本人はなにも知らない』(ワニブックス)、『激安ニッポン』(マガジンハウス)など。Xアカウント:@May_Roma
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