「ラ・メゾン・デュ・ショコラ」ニコラ・クロワゾーシェフ インタビュー「変わらないために、変わり続ける」(後編)

「ラ・メゾン・デュ・ショコラ」ニコラ・クロワゾーシェフ インタビュー「変わらないために、変わり続ける」(後編)

アンソリット(意外性に満ちた)なショコラ

──近年、キャビアやカレーなどの素材を使ったショコラを次々と発表し、話題になりました。こうしたクリエーションの源泉は?

ニコラ・クロワゾー(以下NC) これは先にお話しした私の使命のひとつ、「明日のショコラ」を作ること、つまりショコラの未来の扉を開くことに直結しています。「INSOLITE(アンソリット)」というコレクションがありますが、これは、誰もが予想しない体験を届けるコレクションです。

──「アンソリット」には「意外性に満ちた」というような意味があります。

NC そのとおりです。2025年夏には、インドカレーのスパイスをプラリネとあわせた「アンソリット カレー」、同年秋にはキャビアをプラリネとあわせた「アンソリット キャビア」、フランスでは「アンソリット オイスター」(日本未発売)という牡蠣(かき)のミネラルを加えたガナッシュも販売しました。みなさんの好奇心や冒険心を刺激し、味がお好きかを試し、未知の体験そのものを楽しんでいただくものです。

「アンソリット キャビア」

新時代のショコラ

──時代にマッチしたショコラも開発されています。真夏の「コフレ ショコラ グラッセ」は、凍らせて味わう画期的なショコラです。

NC 地球温暖化を意識したクリエーションです。暑いとショコラが売れにくくなることもあり「凍らせるとおいしいショコラ」のアイデアを思いつきました。

冷凍しても固くなりすぎず、口どけや香りを失いません。レシピを作るのは簡単ではありませんでしたが、アイスクリームやギモーブ(マシュマロ)から発想を得て、ガナッシュに空気を含ませています。冷凍庫で凍らせるとおいしいショコラは2014年に発案し、2024年の夏に発売されました。

「コフレ ショコラ グラッセ」

──販売まで、10年かかっていますね。

NC 先駆的なアイデアは、理解されるまでに時間がかかるものです。クリエイターはその点、孤独ですね。私は常に、未来に自分を置いてショコラを作っていますが、今この時代を生きる人すべてに、すぐ理解してもらえるわけではありません。周囲を説得し、少しずつ歩み寄り、未来のためのアイデアは時間をかけて形になります。

「ガナッシュ ビーガン」

──動物由来の原材料を使わない「ガナッシュ ビーガン」はパリでも人気。定番のショコラとほとんど変わらないおいしさに驚きました。

NC このショコラが生まれたのも、私自身の変化や感覚がきっかけです。仕事柄、多くのショコラを味わうので、この先の健康を考えるようになりました。そこで、動物性の生クリームやバターの代わりにヘーゼルナッツオイルを使い、体への負担が少ない、味わい深いショコラを開発しようと思ったのです。食物繊維としてチコリファイバーを加えています。

配信元: marie claire

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