職場も業務内容も「自分で選ぶ」…ジョブ型雇用が基本
新卒採用で入社して、ジョブローテーションによりさまざまな経験を積み、同期入社の同僚と競い合い比較されながら、成果を認められて昇進を目指していく。そんな日本特有の職場では、確かに数カ月も職場を離れることによって同僚にキャリアの面で大きな後れを取ってしまうことになりかねない。
一方、スウェーデンでの雇用形態は基本的に「ジョブ型雇用」であり、社内異動や転勤は原則としてなく、転職も頻繁だ。1人ひとりが自分のキャリアプランを描いていて、今の職場よりも良い条件の職場があれば次々と転職し、経験を積んでいく。
管理職になりたいと思えば、今働いている会社の内外を問わず、自分で空きポストを見つけて応募する。現時点での自分の生き方には非管理職が合っていると思えば、今のポストに居続けることもできる。
キャリアは会社が決めてくれるものではなく、自分で積極的に築いていくものなのだ。そのような働き方においては、半年から1年に及ぶ育児休業も大きなマイナスとはならない。
これに関連して付け加えるならば、転職が一般的で流動的な労働市場であるため、従業員の育児に理解を示さないような職場からは人材が流出してしまうことになる。
優秀な人材を引きつけたり、今いる従業員にとどまってほしいと思えば、育児休業を取りたい従業員には、男女を問わず積極的に取らせる必要がある。そして、育児を通じてその人が培った経験や考え方を職場でも活用していければ、職場にとってもプラスとなる。
子どもを持つことは、子育ての責任も自分で引き受けること
また、スウェーデンでは男女を問わず、自分の希望する仕事に就いてキャリアを積むことを当然と考えているので、育児を分担しようとしない男性には女性がついてこない。
私が以前、スウェーデンの大学で研究職に就いているとき、子どもがいる同世代のスウェーデン人の同僚男性に、なぜ育児休業を取るのか尋ねたことがある。彼の答えは至ってシンプルで単刀直入だった。
「子どもを持つということは子育ての責任も自分で引き受けるということ。それができないなら、子どもは持たないほうがいい」
佐藤 吉宗
SEB
シニア・データサイエンティスト
