企業は“最高益”更新でも上がらない給与…「日経平均8万円」時代を見据え、〈第二の給与〉を手にするための投資術【杉村太蔵が解説】

企業は“最高益”更新でも上がらない給与…「日経平均8万円」時代を見据え、〈第二の給与〉を手にするための投資術【杉村太蔵が解説】

2025年下旬以降、上下しながらも史上最高値を更新し続けている「日経平均株価」。高すぎるといった声もあるなか、杉村太蔵氏によれば10~15年後には日経平均株価が「8万円以上」になると予想しています。とはいえ日経平均株価が上がっても、家計が豊かになったと実感している人はあまり多くないかもしれません。そこで本記事では、杉村氏の著書『杉村太蔵の推し株「骨太」投資術』(文藝春秋)より一部を抜粋・編集し、企業が過去最高益を出す一方で給与が上がらない日本経済の構造と、新NISAを活用して企業の利益を〈第二の給与〉として受け取るべき理由を解説します。※株価等の情報はすべて、書籍執筆時(2025年11月)のものです。

日経平均株価「8万円以上」と予想

日経平均株価の高値更新に、「高すぎる」「もうピークではないか」という声も聞こえてきます。

しかし私は、まったく逆の確信を持っています。私は10年から15年後、日経平均株価は「8万円以上」になると見ています。

今から投資を始めても、決して遅くありません。むしろ、いまこそ日本の大きな波に乗り始める絶好の機会です。高市総理も断言されていましたね。

「Just shut your mouths. And invest everything in me ! (いいから黙って全部オレに投資しろ)」

ここまで言いきる総理大臣というより、国の指導者は珍しいです。では、なぜ高市総理が、ここまで自信をもって言いきることができるのか?

その理由は、この四半世紀に日本経済で起きた構造変化を見ればはっきりします。

そうです。日本企業は想像以上に強くなっているのです。まず、日経平均株価の動きを振り返ります。2009年に7,054円98銭という最安値をつけてから、現在はその約7倍にまで上昇しています。

しかし、もっと重要なのは、企業そのものの成長です。金融・保険業を除く企業全体の当期純利益は、2000年頃は10兆円前後だったのが、最近では80兆円を超えています。この四半世紀で8~9倍に増えました。

後ほど詳しくお話ししますが、内部留保の中でも特に「現預金」は300兆円を超え、企業の財務体質は過去最強と言えるほどに強化されています。ここまで企業が力をつけた時代は、日本の歴史の中でもほとんどありません。

しかし、皆さんのなかに、景気が良くなったと実感している人はどのくらいいますか? ほとんどの人が、家計の豊かさにはつながっていないと感じているのではないでしょうか? それがなぜなのか、をよく考えてほしいのです。

たしかに、企業の業績は飛躍的に伸びました。しかしですよ、法人税の税収はこの四半世紀を見ると、10兆円~12兆円だったのが、最近は14兆円から19兆円程度。企業の利益の割には法人税の税収は、ほぼ横ばいです。

一方で、国民が日々の生活で負担する消費税収は、なんと2000年代初頭は10兆円だったのが、今や25兆円を超え、大幅に増加しました。

にもかかわらず、私たちの所得はほぼ横ばいのままです。実質賃金はむしろ下がっています。企業は低金利の恩恵を受け、最近では歴史的円安の追い風を受けて過去最高の利益を更新しています。それでも家計には十分に回ってきませんでした。この現実を見ると、胸が苦しくなります。悔しさや危機感が込み上げてこないでしょうか?

企業は豊かになったのに、家計は豊かになっていない。この構造を変えなければ、日本は「賃金が上がらない国」のままです。

新NISAが起こす「新たなトリクルダウン」とは

──ここで私は懺悔します。

この原因のひとつに、「残念ながら『トリクルダウン』は起きなかった」ことが挙げられます。

私が初当選したのは、2005年です。あの時期以降、よく聞かれた議論として「トリクルダウン」という言葉がありました。このトリクルダウンというのは、まずは大企業が儲かれば、やがてその富は滴り落ちるようにその下の中小企業や地方、そして私たち個人に広がっていくという考え方です。たとえるならシャンパンタワーのようなイメージでしょうか。

しかし、この20年のデータが示したとおり、日本では残念ながらトリクルダウンが起きなかったのです。大企業が儲けた利益は中小企業や地方、個人に滴り落ちることはなく、そこで溜め込まれてしまいました。これが現実です。では、私たちはどうすればこの構造を変えられるのでしょうか。

じつは新しい「トリクルダウン」の手法が提案されています。それが「貯蓄から投資へ」です!

政府は判断しました。企業が利益を十分に賃金として回さないのであれば、国民自身が企業の利益に直接アクセスできる仕組みをつくるしかない、と。その答えが、「新NISA」です。

新NISAでは、

  • 株式の値上がり益
  • 配当金(企業の純利益の分け前)

が非課税になります。

これは、政府の明確なメッセージにほかなりません。

「企業が賃金として利益を回さないなら、国民には株主となって利益を受け取ってほしい」ということです。大企業が儲けた利益が滴り落ちるところに、受け皿を用意して、それを国民に受け取ってもらう。つまり「新NISA」は、今度こそ「トリクルダウンを実現する」ための制度なのです。

私はこの制度の本質を理解したとき、強烈に感じました。ようやく、日本にも資産所得を家計に届ける仕組みが整った、と。これを使わない理由はどこにもありません。

「新NISA」による投資は、国民にとって“第二の給与”になります。

これからの日本では、給与所得だけに依存する生活ではますます厳しくなります。しかし株価が下がり、経済が低迷するリスクを「政治」が選択できる可能性は低く、企業に対する優遇はこれからも変わりません。儲ける環境が整った企業は、これからも利益を上げ続けるでしょう。その企業の利益が、配当として私たちに届きます。新NISAを使えば、その配当は非課税で積み上がります。

だから私は、新NISAによる投資を「国民にとっての第二の給与」と捉えています。いま投資をしていないということは、ひとつの収入源を放棄しているのも同然だというのが私の考えです。

だから私は、いまからでも遅くないから、「株を買う」ことを強く勧めています。

もちろん、冒頭でもお伝えしたとおり、投資は自己責任です。リスクはあります。ただ、何もしないリスクも十分意識するべきです。

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