介護職の優しさを搾取させない。元ケアマネ家政婦が仕掛ける保険外サービスによる報酬革命

介護職の優しさを搾取させない。元ケアマネ家政婦が仕掛ける保険外サービスによる報酬革命

「お人よしの介護」から「ビジネス介護」へ

藤川さん取材風景3

──これまでのお話のなかで「対価」や「報酬」という言葉を強調されています。そこまで「お金」にこだわるようになったきっかけを教えてください。

私は20歳で介護業界に入り、約25年間、訪問ヘルパーやケアマネジャーとして働いてきました。そこで、優しさと根性ですべてを背負おうとして、身体を壊した経験があります。そして、それに対する報酬があまりに安すぎました。

とくに2010年からの約10年間は人手が足りず、今振り返っても過酷な働き方をしていました。施設ケアマネをしながら現場のフルタイム勤務、夜勤もこなし、さらには経理やスタッフのマネジメントまで、あらゆる業務を一人で抱え込んでいたんです。

施設ケアマネ時代ピーク時の1日の流れ

──ケアマネ業務をしながらフルタイムでヘルパー業務もしていたんですか?

はい。例えば、事務作業を終わらせるために夜勤開始の4時間前に出社します。でも、事務作業中に「Aさんが転倒した」などの報告があれば、すぐに対応する必要があります。結局、作業が進まないまま夜勤に入り、本来は仮眠をとるべき時間にアセスメントや請求事務を進めます。

翌朝、早番のスタッフに欠員が出れば、そのまま現場を離れられず、3日ほど家に帰らないなんてこともザラでした。そんな生活を続けた結果、突発性難聴になり、2020年には免疫系の疾患を患って入院しました。

当時の職場はアットホームでスタッフの仲も良く、介護の仕事自体とてもクリエイティブでやりがいがあると思っていました。でも、死にかけるまで働いても手取りは30万円を下回っていました。

──その経験が、今の活動にどうつながったのでしょうか。

入院を機に、これまで善意でおこなってきたサービスにどれほどの価値があるのかを考え直しました。そこで、隙間時間を利用して自費の家事支援を試験的に始め、これまで無償で提供していた部分を保険外サービスとして切り出してみたんです。

すると、保険内では評価されなかった気遣いや細かな技術に対して、利用者さんは高い対価を払ってくださったんです。それまでお人よしの優しさで提供していたものに、実はものすごい価値があることに気づくことができました

保険外サービスは「金儲け」なのか

──介護業界で「ビジネス」を強調すると、「金儲けか」という反発もありませんか?

ヘルパー仲間から冗談まじりに「裏切り者!」なんて言われることもありますし、私自身も葛藤があります。その罪悪感を埋めるように、今は自治体が提供する30分300円という安価なサービスにも携わり、自分なりのバランスを取っています。

ただ、その一方で訪問介護の仕事を、自分の生活のための仕事として成立させることも一つの正義だと思っています。

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