まとめ:愛情だけでは家族は守れない
武夫さんの「全財産を妻に」という遺言は、間違いなく松子さんへの深い愛情から生まれたものでした。しかし、受け取る側の「判断能力」という現実を直視しなかったために、その愛情が呪縛となってしまいました。
親が元気なうちに、あるいは「親の老いに気づいた最初の違和感」の瞬間に、感情論ではなく「現実的なシミュレーション」ができるか。
「遺言」は資産を渡すためのツールに過ぎません。渡したあとに家族が困らないよう、「家族信託」や「管理機能付きの信託商品」といった守りの仕組みを用意できているかどうかが、資産と家族を守れるかどうかの境界線となります。
市山 智
司法書士/行政書士/AFP(日本FP協会認定)
