「軽い気持ちで投稿しちゃった」では済まされない…従業員の炎上→会社を巻き込み大損害へ。〈SNS時代〉の恐ろしいリスク【弁護士が解説】

「軽い気持ちで投稿しちゃった」では済まされない…従業員の炎上→会社を巻き込み大損害へ。〈SNS時代〉の恐ろしいリスク【弁護士が解説】

不適切な投稿をしている従業員に会社ができること

このような損害を最低限にとどめるため、従業員による不適切な投稿を発見した場合、会社はスピーディーに対処することが重要です。

投稿の削除を要請する

ア.投稿を保存する
SNSの投稿は、投稿者が簡単に編集・削除できてしまいます。
そのため、不適切な投稿があった証拠を記録しておくことが重要です。たとえば、スクリーンショット、キャプチャ、紙にプリントアウト等して保存します。


イ.投稿者を特定する
実名アカウントでない場合は、投稿した従業員が誰なのかを特定する必要があります。情報流通プラットフォーム対処法(特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律)第5条に基づくプラットフォーム事業者等に発信者情報を開示させるための裁判手続きは、法律に沿った専門的な手続きが必要なため、弁護士に依頼した方が良いでしょう。


ウ.事実確認&削除要請
投稿した従業員に対して、事実を確認するため聞き取り調査を行います。そして、できるだけ早く、投稿を削除するように要請します。会社の被害を最小限にとどめるためにも、削除要請は早い段階で行うことが重要です。

なお、従業員が削除要請に応じない場合は、サイト管理者に対して削除申請します。削除申請が認められない場合は、投稿削除の仮処分(裁判手続き)をすることになります。仮処分は、法律に沿った専門的な手続きが必要なので、弁護士に依頼することをおすすめします。

■懲戒処分

社外秘などの不適切なSNS投稿が、就業規則上、守秘義務違反などの懲戒事由に該当する場合、会社は従業員に対して懲戒処分を行うことができます。ただ、懲戒事由に該当する場合でも、悪質性や被害の程度等の事情に照らして重すぎる処分(たとえば懲戒解雇)は、後日、裁判において無効と判断される可能性があります(労働契約法第15条)。したがって、どの程度の処分を行うかは、弁護士に相談しながら決定すると良いでしょう。

■損害賠償の請求

会社に損害を与えるような不適切投稿をした従業員に対して、損害賠償を請求することも可能です。どの程度の金額を請求するか等について専門的な判断が必要になりますので、弁護士に相談することを推奨します。

■刑事告訴

「A社は不良品ばかり売っている詐欺集団」などと誹謗中傷する投稿によって会社の名誉を毀損した従業員を名誉毀損罪(刑法第230条)で刑事告訴して、刑事罰を求めることもできます。

会社が取り組むべきSNS管理

従業員による不適切な投稿の発端は、ささいな原因であることが多く、あらかじめ対策をしておけば未然に防げた事案も多くあるように思います。では、具体的に会社はどのようなSNS管理に取り組むべきなのでしょうか?

■就業規則などの整備

就業規則や誓約書を見直して、不適切投稿を禁止し違反すると懲戒事由になる条項を追加するなど、SNS投稿によるトラブルに対応できるようにします。

また「SNS利用についてのガイドライン」も整備します。SNSの使用法、投稿する際の注意点やリスクについて記載します。会社公式SNSに限らず、従業員個人のアカウントによるSNS投稿に関しても項目を設けると良いでしょう。必要に応じて、弁護士によるリーガルチェックやアドバイスを受けることを推奨します。

■「内部通報制度」の整備

SNSは気軽に投稿できて拡散力があるところから、内部告発にも使われがちです。そこで、従業員が会社への不満を、SNS投稿によることなく、社内で相談を受けて解決策を講じ改善できる仕組み、すなわち「内部通報制度」の整備が必要です。

上司や同僚によるハラスメントなどコンプライアンスに反する不満や悩みやを気軽に相談できる窓口を設けて、すべての従業員に周知しておくとよいでしょう。

■コンプライアンス研修

従業員による不適切な投稿は「違法だとは知らなかった」や「ついうっかりやってしまった」など、SNS利用に関するガイドラインや就業規則を理解できていないことが1つの要因になっています。そのため、会社のリスクを最小限に抑えるには、すべての従業員に対して、入社時のみならず定期的にSNS利用に関するコンプライアンス研修が効果的です。

「SNS利用についてのガイドライン」を研修資料として活用して、どのような情報を投稿すると、たとえ悪意のない投稿であっても法令違反になったり社外秘に該当してNGになったりするか、具体的に説明すると効果的です。

また、実際のSNS投稿で炎上した事例を取り上げて、不適切な投稿が会社のみならず顧客や取引先にまで悪影響を及ぼし会社にとって大きなリスクになることや、投稿者自身が法的責任を問われて損害賠償を請求されたり刑事告訴されて逮捕・裁判を受け得ることを自覚してもらうことが、従業員による不適切な投稿への抑止になります。

上司・同僚によるハラスメントや会社への不満を相談できる窓口が設置されている旨も、あわせて周知しておくと良いでしょう。

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