どれだけキャッシュレス化が進んでも…43歳長男驚愕。年収3,000万円・資産3億円の72歳父の財布にはいつも「1万円札が20枚」、富裕層があえて「現金」を使い続けるワケ【FPが解説】

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「黒字でも会社は潰れる」銀行の手のひら返しと現金の重み

笑って話していたAさんでしたが、ふと表情を引き締め、息子を見据えました。ここからが、今日一番伝えたかったことのようです。

「『どんなに赤字でも現金さえ尽きなければ倒産しない』という話を聞いたことはないかい? 逆に黒字でも現金が尽きれば倒産することだってあるんだよ」

いわゆる“黒字倒産”の話です。


「バブルがはじけたあとにはね、うちの会社も傾いて本当に大変だったんだ。ほかに倒産した会社の話もけっこう聞いたよ。銀行なんかも多くの不良債権を抱えちゃってね、すごく慎重になって、企業への貸し出しに急に渋くなってな」

Aさんの脳裏には、当時の苦い記憶が焼き付いています。

「あのときの銀行の手のひら返しは絶対に忘れないよ。でも仕入れ代金や従業員の給料の支払いはしないといけないだろ。おじいちゃんやら友達やらに頼みまくって現金をかき集めて支払ったんだよ」

「あぁ、いまだとファクタリング会社で売掛金を現金にできるけど……。でも売掛先の信用によっては手数料なんかも違うしね。確かに経営者としては現金は大事かもね」と息子も納得した様子です。

「現金を持っていて得したこともあったよ。バブルで土地が値上がりしていたときにね。不動産屋にまとまった現金をみせてね。即決値引きで欲しかった土地を手に入れたこともあった。現金の破壊力だよ。値下がり前に売り抜けてね。あれは儲かったな(笑)」

富裕層があえて「現金」を使い続ける理由

夜も更け、Aさんは最後のグラスを飲み干しました。

「現金にはいい想いをさせてもらったこともあるし、苦労をさせられた経験もある。だから毎日使った分をATMで補充して、感謝の意味も込めて、昨日いくら使ったかを再確認してるんだよ」

店を出るとき、息子は財布を取り出しながらいいました。

「父さん、今日は僕がおごるよ。なんかすごい勉強させてもらった気がするんだ。今日は僕もカードじゃなくて現金で」

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