◆上野、羽田、香港で起きた強盗事件をつなぐ1本の線

「1月29日から30日にかけて、上野、羽田、そして香港の両替屋で起きた強盗事件は、相対屋を狙ったものだというのが我々の通説です。香港はUSDTの仕入れ値が日本国内と比べて割安なため、被害に遭った相対グループは毎日のように香港に日本円を運ばせ、香港の両替店で現地のドル円レートでUSDTに交換して日本国内で売りさばくボリュームを仕入れていました。この情報を察知していた何者かが上野、羽田、香港と3か所で現金の運搬車を襲わせ、強奪を企んでいたのです。
3か所とも催涙スプレーを使う手口が共通しており、かつ羽田と香港の現場には同じ人物が居合わせ、1人が香港当局に拘束されています。彼が内通者だったことは明らか。それに、公にはなっていませんが昨年秋から年末にかけて2件ほど同様の被害が起きており、5000万円規模の被害があったという話も伝わっています。一連の事件は福井さんもよく知る人物が企てたという説もあり、実行犯らは警察と裏社会の両方から探されていると聞いています」
◆相対屋を狙った連続タタキの裏側

「詐欺集団はフェイスブックやインスタグラムだけでなく、ジモティやAirBnbなどあらゆるところに罠を仕掛けてあなたの財産を狙いにきます。どんな理由にせよ、会ったこともない人から『仮想通貨をここに送ってください』と言われるような話には乗らないことです。万一、送ってしまった場合は送付先のアドレスを把握しておくこと。仮想通貨の数少ない犯罪抑止の利点として、送金元を追いかけられることがあり、アドレスを丹念に解析して遡れば相対屋が最後に現金化する取引所の口座にまでたどり着けることは稀にあります。警察でないと開示請求はできませんが、最後の望みがあるとしたらこれしかない」
巨額のマネーを操る相対屋は、一見すると我々とは無縁の「闇社会の物語」に思える。だが、ルフィグループがSNSで闇バイトを募ったように、気づけばスマホのすぐ向こう側まで来ているのだ。

宮路由久氏
クリプトアナリスト。急増する仮想通貨・暗号資産の詐欺被害回復に向けた伴走支援を得意とする。ウエイトリフティング元五輪代表としても活躍
(取材・文/SPA!特殊詐欺取材班)
―[闇の両替商[相対屋]の正体]―

