生涯現役、一消費者だから遠慮はいらない
長く生きていると、補聴器だ、入れ歯だ、眼鏡だと、何かと物入りになると聞きます。さらに言えば、私たちはこれから先の高齢期に、心身の状態に応じて、大人用パッドや介護用ベッド、車いすなど、さまざまな商品を使う消費者になる場面が増えるわけです。
私はこれまで「人生100年、生涯現役、一有権者」と訴えてきましたが、近頃、声を大にして言いたいのは「生涯現役、一消費者」。私たちはいくつになろうと、どのような状態になろうと、最後までものを消費して生きていくのです。だから、遠慮して小さくなる必要はありません。
生涯一消費者として、長く生きてきた人間として気付いたことを、「ここが不便だ」「もっと工夫してほしい」と、ぜひ遠慮なく発言していってほしいと思います。それは立派な社会参加です。――ハルメク2024年10月号より
人生100年時代、多様なコミュニケーション手段を持って

ある同年輩の女性に、ちょっと聞きたいことがあって電話をしたら「樋口さん、申し訳ないですけど、今補聴器をつけていてもうまく聞き取れないので、ご用件はお手紙でいただけませんか」と言われました。
(中略)一方、早朝に電話が鳴って、出ると旧知の女性で「朝早くに、ごめんなさいね。あんまり寂しくて電話をかけちゃった」と。彼女は毎月2通、近況を書いた絵はがきを送ってくれていたんですが、右手の指のケガが治らずペンが持てなくなったそうです。
「だから、これからは月に1度でいいから短い電話をしてもいいですか」と。「ええ、構いませんよ。長電話でなければ」と言って電話を切ってから、考えました。
ある人は耳がダメになったから電話ではなく手紙をくれという。またある人は指がダメになったから手紙のかわりに電話をさせてほしいという。
つまり年を取ると、一人一人多様な障害に見舞われて、コミュニケーション手段が減っていくということです。だからこそ人生100年時代には、スマホやパソコンをはじめコミュニケーション手段は多様に持つ方がいい。そう実感しているところです。――ハルメク2022年8月号より

