◆一通の身に覚えがないメールが…

「件名は『ペットタグ更新のお知らせ』でした。最初は“何のことだろう?”と思いました。ちなみに、飼っていた猫は3年ほど前に亡くなっています。メールには『5年前に登録したペットタグの更新期限が近づいています。更新しますか?』と書かれていました」
ペットタグとは、ペットの首輪などに付ける小さなタグのことだ。最近はGPS機能が付いたものもあり、スマートフォンと連動して位置情報を確認できるタイプもある。万が一、ペットが迷子になったときのために登録しておくサービスだ。
「でも、僕はペットタグなんて登録した覚えがない。そもそも家猫でしたし、そういうサイトを見たこともない。一体なんのことなんだろう、と気味が悪くなりました」
その後もしばらく、そのメールが頭から離れなかった。そして、ある出来事を思い出したという。
「ユイが最後に荷物を取りに来たあと、なぜか洗濯物をしてくれていたんです。その中に、いつも僕がかぶっていたお気に入りのキャップもありました。そのときは“帽子まで洗うなんて珍しいな”くらいにしか思わなかったんですが……」
◆お気に入りのキャップにまさかのGPS
それから間もなく、長谷川さんの愛猫が亡くなった。気分を変えようと旅行に出かけ、そのときもそのキャップをかぶっていったという。「景色のいい高台で写真を撮っていたとき、急に強い風が吹いて、帽子が飛ばされてしまったんです。探したけど見つからなかった。その前後の様子をSNSに投稿したら、普段はまったく反応してこないユイからDMがきたんです。『帽子は?』って。そのときは深く考えず、返信もしませんでした。でも、あのメールを見てから、ふと思ったんです。もしかして、あの帽子の中に……ペット用のタグが縫い付けられていたんじゃないかって」
ちなみに、ユイさんからはあのDM以来、連絡は一切きていないという。もし長谷川さんの推測が正しければ、帽子の中にGPS付きのペットタグが縫い込まれていたのだとしたら。長谷川さんは、およそ2年ものあいだ、自分でも気づかないまま居場所を知られていたことになる……。恐ろしい話だ。
<取材・文/結城>

