3.AI時代にこそ大切な“接続点”—関係人口を育てる役割の未来
倉重:ここからは少し俯瞰した視点で、実践されている横道さんから見た、地域の関係人口をつくる役割と、その課題や可能性について聞かせてください。
横道:いま感じているのは、関係人口は「どこにいるか」を探すよりも、「どう接続するか」そして「誰がそれをやるのか」が大切なのかなと思っています。
倉重:外の人が関われる入口を増やしたい、とおっしゃってましたね。
横道:そうですね。やはり地元にいながら接続点になれる人がいないと、関係人口は生まれにくいと感じます。
倉重:その接続点になる人って、具体的にはどんな人をイメージされていますか。
横道:言ってみれば「土の人」の地元の気持ちと、「風の人」の気持ち、その両方が分かる人かもしれませんね。
倉重:だから「外からの目線」が大事っておっしゃるんですね。でもやっぱり物理的にも地元に寄り添える人がいいと。
横道:はい。その二つがそろうと理想的かなと。
倉重:そこに、ある程度の経験を積んで来た人が入ると、大きいですよね。
横道:そうなんです。「なんでこうなっちゃってるんだろう」と思える人が、動き出すと、地域側には本当に大きな影響があると思います。
倉重:ちなみにプロボノで入られた方への、地方側の反応はどうでしたか。
横道:まずみんな最初は疑心暗鬼です。「どうしてそんな人たちが、無料で手伝ってくれるんや?」って(笑)
倉重:分かります。仕組みを知らないと、最初は身構えますよね。
横道:だから「嘘のような本当の話です」と、実体験込みで伝えるようにしています。
倉重:今横道さんがいらっしゃる認定NPO法人サービスグラントには、プロボノ会員が1万人もいるんですよね。それを聞くと、ただ「善意」だけで集まっていると説明しきれない部分もありそうです。
横道:そうですね、皆さんが得る貢献意欲や、実際にやってみて感じる「やりがい」みたいなものは、やっぱり大きいです。しかもコロナを経て、地方で活動する機会があるなら行ってみたい人が増えているのも追い風です。
倉重:潜在的に、地域の接続点になりたいと思っている人が、増えているわけですね。
横道:はい。だから私は、これからは、いってみれば「地域のプロボノ・コーディネーター」を増やすことがポイントだと思っています。
倉重:なるほど、横道さんがその道の先鞭をつけているということですね。
横道:そうなれるといいなと思っています。
倉重:もう少し具体的には、そのコーディネーターはどんな役割を担うのでしょうか?
横道:まずは、「地域の困り事」を整理して、どんな人が何をすればそれを解決に導けるのか、を考えることでしょうね。それと同時に、その地域や役割に合致する経験を持つ人を選ぶために、どんな発信をしたらいいかを考えます。応募があったら、そのなかからよりマッチする人を選ぶのも、大事な役割になるんでしょうね。
倉重:その文脈で、自治体などとの連携も意識していますか?
横道:はい、会社としても、行政機関や各地の自治体とそういう連携を模索していますね。
倉重:それが仕組みになっていけば、単発の成功で終わらない。
横道:そうですね。それに、そういう役割を担った経験はどの地域でも活躍できるでしょうし、うまくいった人が独立したり、別の地域へ移ったりするような未来もあり得るのかなと想像しています。
倉重:なるほど。個人の才能だけに頼らず、仕組みとして接続点を増やしていくんですね。
横道:そうなると良いですね!
倉重:ご自身のこれまでの経験が、すごく大きな可能性に繋がっているんですね。
横道:はじめの頃は全く想像してはいなかったですが、こういうチャンスに巡り会えてありがたいです。
倉重:これから、何かしら地方に関わってみたいと思っている人たちに、何かアドバイスをいただければ嬉しいのですが。
横道:まずは、いきなり移住じゃなくてもいいと思います。少しずつでも、今までの経験をベースに、関心の持てる地域に、まずは気軽に「関わってみる」ところから始めるのが良いのではと思います。
倉重:なるほど。支援とか貢献となると重たいですが、最初から気負わないのは重要ですね。
横道:そうですね。関わりたいという気持ちそのものが大事かと思います。
倉重:ですよね!これからますますAIなんかが世の中に広がっていきますが、そういう意欲や気持ちは、人間ならではですもんね。最後に残るのは「人が人をつなぐ仕事」なんだと感じました。
横道:たしかに、AIには絶対奪われない仕事かもしれませんね(笑)人としてやりがいのある仕事を残すためにも、地域が「外の力」とつながる道を増やしたいです。

[サービスグラントの活動の様子]
編集後記
お話を伺って強く印象に残ったのは、横道さんが、「誰にでも起こり得ること」から始めて感じた課題に素直に向き合い、地域との関わりを自分の手で着実に力強く拓かれていることです。その情報がほとんどない地域であっても、めげずに人の縁をたぐり寄せ、会合に顔を出し、対話を重ねて“入っていく”姿勢が、本当に素晴らしいなと感じました。
さらに印象的だったのは、やりたいことを実現するために、迷わず外の人を巻き込んだことです。プロボノという概念は今となってはあちこちで聞くようになりましたが、それでもいい人と出会えるかはやはり簡単ではないはず。そこで、ご自身が震えるほど感動する成果を上げる人を引き寄せたのは、もちろんその方の「共感力」も素晴らしいのですが、横道さん自身の「共感され力」も同時に発揮された結果ではないかと想像します。相手の経験や気持ちを尊重しながら、同じ目線で一緒に悩める環境が作れるからこそ、プロボノワーカーも本気で関わり続けられるはずです。
そんな自身の経験から、地域の「接続点」になる人材に着目し、それを仕組み化しようとしている視点は、関係人口時代に必要とされるキャリアそのものだと感じました。
やはりこれからは、「関わりしろ」を増やす仕事の担い手こそが地域を支えるキーマンになる。—インタビューを終えて、そんな確信が心に強く残りました。
文責:ネイティブ.メディア編集部
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