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60歳前に死亡したらiDeCoはどうなる?離婚・破産のケースも解説

60歳前に死亡したらiDeCoはどうなる?離婚・破産のケースも解説

iDeCo(個人型確定拠出年金)はNISAと並んで大きな税制メリットがあり、老後資金作りに役立つ制度として知られています。「60歳まで引き出せない」というのが大きな特徴の一つですが、「もし60歳までに死亡したら?」「離婚や自己破産の時はどうなるの?」と疑問に思う人もいるでしょう。

今回は死亡や離婚、自己破産した場合などのiDeCoの取り扱いについて解説していきます。 

iDeCoの特徴とメリット、NISAとの違いもおさらい

iDeCoは個人型確定拠出年金と呼ばれるもので、老後資金を自分で積み立てていくことができる制度です。iDeCoの主な特徴は以下の通りです。

●自分で積み立てと運用を行う

毎月一定額を積み立て、その資金を自分自身で選んだ金融商品で運用します。

●税制メリット

積立時:掛金が全額所得控除になります。

運用時:運用益に課税はされません。

受取時:一時金で受け取る場合は退職所得として「退職所得控除」、分割で受け取る場合は雑所得として「公的年金等控除」ができ、税負担を軽減して受け取ることができます。

●長期積立

一定の金融商品からリスクとリターンを考慮して自分に合った商品を選び、原則60歳まで積み立てを続けることで、複利効果による資産形成が期待できます。途中見直しを行うことも可能です。

NISAと混同する人も多いですが、NISAはあくまで投資を行う上で配当金や譲渡益が非課税になるという制度でいつでも売却、換金ができます。もちろん老後資金準備としてNISAを利用してもいいですし、教育資金準備や将来の旅行のためといった様々な目的を設定して投資を行うことができます。

一方iDeCoは「年金」とあるように明確に老後を目的としており、NISAにはない税制メリットや制限などが設けられている点が大きな違いです。

加入者が死亡した場合のiDeCoは「死亡一時金」に

死亡届
【画像出典元】「stock.adobe.com/takasu」

加入者が死亡した場合は遺族が「死亡一時金」として受け取ることができます。死亡一時金を受け取ることのできる遺族は民法の定める相続の順位とは異なり、法令に基づく受取人の順位は以下の通りです。

(1)配偶者(死亡の当時、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む)

(2)子、父母、孫、祖父母および兄弟姉妹であって、死亡の当時、主としてその収入によって生計を維持していた者

(3)(2)の者のほか、死亡の当時、主としてその収入によって生計を維持していた親族

(4)子、父母、孫、祖父母および兄弟姉妹であって、(2)のものに該当しない者

参考:JIS&T(日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー株式会社)HPより一部抜粋

配偶者、子、父母、孫、祖父母および兄弟姉妹の中から、あらかじめ死亡一時金受取人を指定することができます。その際は運営管理機関、つまりiDeCo口座を開設している金融機関で手続きを行います。ネット上で受取人の指定や変更を行うことができる金融機関もあるので、一度確認してみてください。

なお、遺族が死亡一時金を受け取る場合、遺族からの申し出が必要となります。加入者等死亡届を運営管理機関に提出するといった手続きが必要となります。その他、受取人の印鑑証明書や受取人のマイナンバーカード、死亡した人と受取人の関係を証明する戸籍謄本などが必要となります。

加入者等死亡届の見本

死亡してから5年間請求がない場合、受給権者がいないとみなされ受け取れなくなる場合があるので早めに運営管理機関に連絡をし、手続きを行いましょう。手続き完了後、受取人の指定口座に死亡一時金が振り込まれることになります。

死亡一時金の金額ですが、iDeCoは加入者の運用方針により投資信託等で運用しているため日々残高は変動します。死亡した日の残高ではなく手続きが完了した時点での残高となるため、手続きを行うタイミングで死亡一時金の額が変動します。

死亡一時金に対する相続税の課税は?

次に死亡一時金の課税関係について紹介します。死亡一時金は請求するタイミングによって課税関係が異なります。死亡日から3年以内に死亡一時金の支給が確定した場合、「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。一方で3年を超えた場合、受取人の一時所得として所得税・住民税の対象となります。それぞれ簡単な事例を紹介します。

〇死亡日から3年以内の場合…みなし相続財産として相続税の対象
みなし相続財産とは「亡くなった人が保有している金融資産や不動産とは異なり、本来は相続財産ではないものの、税法上、相続財産として相続税の対象にする」というものです。生命保険金や死亡退職金などもみなし相続財産に該当します。

みなし相続財産の場合、500万円×法定相続人の数が非課税扱いとなります。

相続人が妻、子ども2人の場合
500万円×3=1500万円…非課税枠

iDeCoは掛金に上限があるため、仮に月額2万円を拠出している場合、20年でも拠出額の総額は480万円です。それに運用益を考慮しても非課税枠があるため相続税はそれほど気にする必要は無さそうです。

また相続税は3000万円+600万円×法定相続人の数が基礎控除となります。

相続人が妻、子ども2人の場合
3000万円+600万円×3=4800万円…基礎控除

よって、死亡一時金が仮に非課税枠を超えても基礎控除の範囲内であれば一切相続税は課税されません。

〇死亡日から3年超の場合…一時所得として所得税・住民税の対象
死亡保険金の受け取り確定が3年を超過した場合、受取人の一時所得となります。一時所得は特別控除が50万円あり、また他の所得と合算する際に2分の1にできますが、相続税に比べると税負担が重くなる可能性が高いです。

死亡日から4年後に死亡一時金300万円を受け取った場合
(300万円-50万円)×1/2=125万円…総所得金額として他の所得と合算
※必要経費等はゼロとして計算しています

給与所得など他の所得との兼ね合いがありますが、仮に所得税・住民税どちらも10%ずつであった場合、上のケースですと所得税12万5000円、住民税12万5000円、合わせて25万円となります。

このように手続きに時間がかかると思わぬ税負担が生じてしまう可能性があります。iDeCoに加入している方はできれば受取人を指定しておき、その受取人に「万が一の際は早めに死亡一時金を〇〇銀行(証券など)に連絡をして手続きをしてほしい」と伝えておきましょう。

配信元: mymo

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