今からできる対策と心構え
【画像出典元】「TA design/Shutterstock.com」
では、私たちは何をすべきでしょうか。まず重要なのは、現在の返済状況を正確に把握することです。金融機関から送られてくる「ご返済のお知らせ」で、自分のローンの金利タイプや残高、返済期間を確認しましょう。
次に、金利上昇シミュレーションを行うことをおすすめします。多くの金融機関のウェブサイトには、金利変動時の返済額を試算できるツールがあります。金利が1.0%、1.5%になった場合の返済額を確認し、家計に与える影響を具体的に把握しておくことが大切です。
固定金利への借り換えを検討する方もいるかもしれません。ただし、現在の固定金利は2%前後まで上昇しており、変動金利との差は約1.5%もあります。変動金利がこの差を埋めるほど上昇するには、あと3回程度(0.75%分)の利上げが必要です。先ほどの予測では、利上げは1.0%~1.5%程度で打ち止めの見込みですから、現時点での借り換えは慎重に判断すべきでしょう。
むしろ、余裕資金がある場合は、繰り上げ返済を検討する価値があります。ただし、手元の現金を全て返済に回してしまうと、急な出費に対応できなくなるリスクもあります。生活費の6か月分程度は手元に残しておくようにしましょう。
金融正常化の意義と家計への影響のバランス
今回の利上げは、日本経済が長年続いた異常な低金利状態から抜け出し、「普通の経済」に戻る過程の一環という見方が大半です。金利のある世界では、預金金利も上昇し、貯蓄にもメリットが生まれます。実際、大手銀行の定期預金金利は0.1%~0.2%程度まで上昇し始めています。
住宅ローンを抱える家計にとっては確かに負担増ですが、日本経済全体で見れば、適度な金利水準は健全な資金循環を促し、長期的には経済の安定に繋がるでしょう。賃上げの継続と金利の正常化が両立すれば、日本経済は持続可能な成長軌道に乗る可能性があります。
約30年ぶりの「金利のある世界」。住宅ローンの負担増は避けられませんが、賃上げの恩恵や預金金利の上昇といったプラス面も含めて、家計全体のバランスを見ながら、冷静に対応していくことが求められるでしょう。