黒字でもリストラを断行する企業が増加中
辞田さんのように、会社が好調なうちに退職を選択するケースは、近年増えつつあります。
東京商工リサーチの調査によると、2025年に「早期・希望退職募集」を実施した上場企業は43社にのぼり、募集人数は1万7,875人に達しました。これは東日本大震災直後の2012年を超え、リーマン・ショック以降で3番目の高水準となります。
特筆すべきは、募集企業の約7割が直近の決算で「黒字」であるという点です。いわゆる「黒字リストラ」が定着しており、業績悪化によるリストラとは性質が異なります。募集企業の業種は、三菱電機やパナソニックHDなどの「電気機器」が約4割を占めており、製造業を中心に構造改革が進んでいることがわかります。
好業績企業の狙いは、将来の成長分野への投資原資確保や人員構成の適正化です。そのため、退職条件として手厚い「割増退職金」が提示されることが多くなっています。
資金力のある大手企業が、50代以上の中高年社員に対して「好条件での退出」を促している今、会社に残るか資金を得て去るか、個人のキャリア観が問われています。
[参考資料]
東京商工リサーチ「2025年 上場企業『早期・希望退職募集』状況」
