1万7,000人が対象となった「早期・希望退職募集」
2025年、上場企業による「早期・希望退職募集」の人数は1万7,875人に達し、前年比で約80%増という急激な増加です。この背景には、甘杉さんの勤務先のように、業績が堅調であっても将来を見越して人員整理を行う「黒字リストラ」の拡大が関係していると推測できます。
東京商工リサーチのデータによれば、募集を行った企業の約85%(人数ベース)が黒字企業でした。 企業側は「ネクストステージ支援」といった前向きな言葉で募集を行いますが、実態は50代以上の高年収層をターゲットにした人員削減であるケースが少なくありません。
甘杉さんのように「割増退職金」に魅力を感じて応募する人は多いですが、50代での再就職市場はシビアです。厚生労働省の統計などを見ても、50代後半の転職で年収が増加するケースは少なく、年収が大幅にダウンするか、非正規雇用での再就職を余儀なくされるパターンが多い傾向にあります。
「上乗せ金」は、退職後の年収減や空白期間を補填するための資金であり、決して余裕資金ではありません。会社という後ろ盾を失うリスクを冷静に見極めなければ、人生設計が大きく狂うことになりかねないのです。
[参考資料]
東京商工リサーチ「2025年 上場企業『早期・希望退職募集』状況」
