
家計を管理する方法は家庭によってさまざま。ソニー生命の「20代・30代共働き夫婦の生活意識調査」(2025年)によると、「誰が家計を管理しているか」という問いに対し、「主に妻」が43.9%で、「主に夫」の27.9%と、その差はほぼ2倍。妻が家計管理を担うことが多いようです。しかし、一方に任せきりにして情報共有を怠ると、思いもよらない事態に陥ることもあります。本記事では、永峰英太郎氏の著書『人はこんなことで破産してしまうのか!』(三笠書房)より一部を抜粋・再編集。家計を任された真面目な妻の事例を見ていきましょう。
家計管理を任された真面目な妻
大分県に住む30代の女性は、とても真面目な性格だった。
のちに夫となる男性は、付き合い始めた当初、散財気味だった自分に対して「もう、そんなんじゃお金が貯まらないよ」と、女性が優しく叱ってくれたことを強く覚えている。その誠実さに、男性は「彼女しかいない」と思うようになっていった。
女性が、なぜ男性に「お金が貯まらないよ」と言ったのかといえば、男性の年収がそれほど高くはなかったからだ。一方で、女性は「私がやりくりすれば大丈夫」と自信を持っていた。
結婚後、2人の生活費は、女性がきっちりと管理することになった。女性から提案したのではなく、男性が「家計は任せた」と伝えたのだった。
ソニー生命の「20代・30代共働き夫婦の生活意識調査」(2025年)によると、「誰が家計を管理しているか」という問いに対し、「主に妻」が43.9%で、「主に夫」の27.9%を大きく上回る結果となった。この女性のようなケースは多いことがわかる。
夫の「ありがとう」が妻を追い込む
女性が家計を管理したため、夫の散財癖はすっかり治り、月数万円は貯金できるようになった。その手腕は見事であった。しかし双子が生まれ、彼らが成長していくと、少しずつお金のやりくりに苦労していく。
その理由の一つは、夫の給料がいつまでたっても上がらないことであった。ちょうどコロナ禍となってしまい、夫が勤めるイベント会社が大きな打撃を受けたのだ。
女性は内心では「もう少し稼いでほしい」と思わないでもなかったが、その要因がコロナ禍だったため、そんなことは口にできなかった。
それよりも、「夫が信頼をして、私に財布を預けているのだから、もっとしっかりしなければ」という自分自身に対する歯がゆさのほうが強かった。
家計が火の車になりつつあることを知らない夫は、毎月お小遣いをくれる妻に対して、口癖のように「お前は本当にすごい。ありがとう」と言うのであった。女性は、もはや孤独であった。1人で抱え込むしかなかった。
