後悔しています…年収1,300万円の55歳サラリーマン、中目黒・家賃40万円の「ファミリータイプのマンション」でひとり晩酌する毎日。原因は“週に一度しか帰宅しない”20歳年下の妻【弁護士の見解】

後悔しています…年収1,300万円の55歳サラリーマン、中目黒・家賃40万円の「ファミリータイプのマンション」でひとり晩酌する毎日。原因は“週に一度しか帰宅しない”20歳年下の妻【弁護士の見解】

厚生労働省「人口動態調査」の結果によると、2024年の婚姻件数は48万5,063件、対して離婚件数は18万5,895件でした。1日あたり500組以上の夫婦が離婚している状況です。もっとも、離婚は「愛情が冷めた」「価値観が合わない」というだけで認められるものではありません。とある夫婦の事例をもとに、離婚を検討するうえで知っておきたいハードルをみていきましょう。弁護士が解説します。

55歳エリートサラリーマンの悩み

上場企業で部長職を務めるタカシさん(仮名/55歳)。年収は1,300万円、中目黒駅から徒歩10分圏内・家賃約40万円の高級マンションで暮らしています。

広々とした2LDKの「ファミリータイプ」ですが、そこに家族の団欒はありません。

リビングの主は、タカシさん一人だけ。深夜、コンビニで買った惣菜を皿に移し替え、缶ビールを開ける音が虚しく響きます。

「この部屋を借りたのは、妻の希望でした。『中目黒で、友人を呼んでパーティができる広い部屋がいい』って。私の年収なら少し背伸びが必要でしたが、20歳も若い彼女と結婚できたことが嬉しくて、二つ返事で契約しました。でも、今は心の底から後悔しています」

タカシさんが妻・ミナミさん(仮名/35歳)と出会ったのは3年前。婚活アプリで知り合ったといいます。猛アタックの末に結婚し、周囲からも羨ましがられたといいます。

しかし、新婚生活は半年も持ちませんでした。ミナミさんは「友達と旅行に行く」「実家の手伝いがある」と理由をつけて外泊を繰り返し、次第に家を空ける日が増えていったのです。

現在、ミナミさんが帰宅するのは週に一度だけ。それもタカシさんが仕事から帰ってくるまでには出て行っています。

「完全に、ここは彼女にとって無料の『トランクルーム』です。私のカードの明細には、彼女が泊まっているであろうホテルのラウンジや、ブランド店での買い物の履歴が並んでいます」

精神的にも金銭的にも限界を迎えたタカシさんは先月、ついに離婚を切り出しました。

「もう限界なんだ。一緒に居られないのにこんな家賃と生活費なんてできない。別れてくれ」

妻の返答

「離婚? なに言ってるの? 私はいまのこの生活が幸せなの。これを手放すなんて、絶対に嫌です」

また彼女は、悪びれる様子もなく続けます。

「私は専業主婦だし、別居しているわけじゃないでしょ? 週に一度は帰ってるんだから。もしどうしても離婚したいなら、私が納得するだけの条件を提示して。それまでは婚姻費用として、今まで通りの金額を毎月振り込んでね」

妻の露骨な「金銭目的」の居座り宣言。タカシさんは広すぎるリビングで頭を抱えています。協議は平行線をたどり、弁護士への相談を余儀なくされました。

タカシさんは離婚できる?弁護士の見解

日本の離婚制度では、相手が同意しない場合、「婚姻を継続し難い重大な事由」、いわゆる法定離婚事由が必要になります。

単に「愛情が冷めた」「価値観が合わない」というだけでは、直ちに裁判で離婚が認められるわけではありません。実務上、大きなポイントとなるのは「別居期間」や「不貞行為」の有無です。

本件では、実質的に別居に近い状態が続いているとの主張も考えられるでしょう。しかし、週に一度帰宅している状況では、裁判所が直ちに別居と認定するかは微妙です。夫側が現状を一定期間受け入れてきた事情も、破綻認定を難しくする可能性があります。

そのため、現時点で裁判離婚が容易とは言い難く、まずは合意離婚を目指す現実的な交渉が有力です。

仮に裁判を選ぶ場合、3年程度の別居が一つの目安とされ、その間は「婚姻費用(※)」の負担が続きます。なお、仮に別居に至った場合でも、収入の多い側には原則として婚姻費用の支払い義務が生じます。専業主婦であっても生活費を請求する権利がある点は、重要な法的ポイントです。

(※)婚姻費用とは、法律上夫婦がお互いに負担すべき生活費のこと。民法上、夫婦はお互いに助け合わねばならないという「相互扶助義務」が定められており、この義務は「相手に自分と同等の生活をさせなければならない」というもの。

タカシさんは将来に渡る負担額から逆算して解決金での合意を図るか、あるいは覚悟を決めて完全別居に踏み切るか、戦略的な判断が求められる状況といえるでしょう。

離婚は3組に1組とも言われる時代ですが、離婚は金銭的にも精神的にも大きな負担をともないます。だからこそ、一時の恋愛感情だけで動くのではなく、一生涯信用できる人かどうかという視点も重要だといえるでしょう。

山村暢彦
弁護士法人山村法律事務所
代表弁護士

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