男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
—あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:マッチング後、2回目のデートがないワケ。男が初デートの時に気を付けるべきことは?
「ごめん、陸。他に好きな人ができたから、別れたい」
交際1年になる美咲からそう告げられた時、僕の頭の中は真っ白になった。
美咲が結婚したがっていたのも知っていたし、僕は「そろそろプロポーズしようかな」と思い、ソワソワと計画を立てていたタイミングだった。
それに結婚を、待たせすぎていたわけではない。
ちゃんと交際当初から結婚する意思も伝えていたし、お互い同じ気持ちで動いていたはずだ。
「美咲、考え直せないのかな?僕は別れたくないよ」
そう伝えてみたものの、彼女の意思は固く、30歳というタイミングで振られてしまった。
付き合って一年と少し。何が原因だったのか、正直、今でもよくわからない。
美咲と出会ったのは、結婚式の二次会だった。
新郎側で参加した僕と、新婦側で参加していた美咲。披露宴の時は席が離れていたので話す機会はなかったけれど、二次会で近くに座り一気に仲良くなった。
名前の通り、美しく咲く花のように綺麗だった美咲。ほぼほぼ、僕の一目惚れだった。
「今度、二人でご飯へ行きませんか?」
そう誘い、一度目のデートで、僕はすぐ行動に出た。
「付き合ってください。ちゃんと、結婚を前提として」
そう告白すると、美咲はとても嬉しそうな笑顔を僕に向けてくれた。
当時の僕は29歳で、美咲は一つ下の28歳。交際当初から、「なんとなく30歳までには…」という無言の共通認識があったと思う。
そして交際は、順調そのものだった。何よりも僕が嬉しかったのは、美咲は僕の友人にもよくしてくれたことだった。
例えば、大学のサークル仲間の花音が転職し、“仕事がうまくいかなくて落ち込んでいる”と連絡があった時のこと。
ちょうど美咲とLINEでやり取りをしていたので、一応お伺いを立ててみる。
― 陸:友達から連絡があって。なんか落ち込んでいるらしいから、ちょっと飲みに行ってきていい?
この日は金曜だったので、本当ならば美咲に会えたら嬉しいなと思っていた。もしかしたら、美咲もその気だったかもしれない。
でもしばらくしてから、美咲から返信が来た。
― 美咲:そうなんだ。それは行ってきてあげて!もし早めに終わったら教えて。たぶん家にいると思うから。お友達、陸に会って元気になるといいね。
なんて優しい彼女なのだろうか。思わずスマホを握りしめながら、僕は返信を打つ。
― 陸:美咲は優しいね。わかった!ありがとう。あと、早めに解散したらすぐ連絡します。
しかしこの後花音とは昔話に花が咲き、2軒目から別のサークルのメンバーも呼ぶことになり、結局家に帰ったのは25時前だった。
― 陸:今から帰ります!すっかり遅くなっちゃった。美咲はもう寝てるかな?また明日ね。
でも別に一緒に住んでいるわけでもないし、美咲に報告する義務は本来、ないはず。でも連絡はしたほうが彼女も心配にならないと思ったので、一応マメに連絡はしていた。
翌日の土曜の夜に美咲に会った際、彼女が料理を作っていたとき、昨日のことを聞かれたので、僕はちゃんと答えた。
「昨日、楽しかった?」
「うん。結局、2軒目から他のメンバーも来て、カラオケとか行って盛り上がっちゃったよ」
僕はビールを飲みながら、正直に答える。
「そうだったんだ。お友達は?大丈夫だったの?」
「うん。花音、帰る時にはすっかり元気そうだったよ」
「え?女子と飲んでたの?」
「あれ?言ってなかった?」
「そうなんだ…最初は二人で飲んでいたってこと?」
「うん、でも花音なんてほぼ男友達みたいなものだし。美咲が心配するようなことは何もないから、安心してね」
「そっか」
「それより美咲は?昨日は何してたの?」
「結局家にいたよ〜」
この会話は、これで終わっていた。そしてこれ以降も、美咲は僕が外へ飲みに行くのも快く送り出してくれていた。
それに、僕は美咲のことをとても大事にしていたと思う。
「美咲、いつもご飯作ってくれてありがとう。本当に美咲のご飯って美味しいよね。結婚したら、毎晩これ食べられるのかな」
「ふふ、そうだといいけど」
家でご飯を作ってくれるので、外食の時は全額僕が支払っていたし、将来の話もして、不安にはさせていない。
「美咲、好きだよ」
愛情表現も、ちゃんとしていた。
お互いに忙しいので週末しか会えないことが多かった。だからこそ、美咲といる時に他の友達から連絡が来ても、二人の時間を大切にしたくて、極力予定を入れないようにしていた。
「陸、電話鳴ってるよ〜」
「誰だろう?あぁ、綾子だ。まぁいいや」
「え?いいの?」
「今日、同期たちが飲んでいるらしく。多分『来いよ』っていう内容だからいいや。今日は美咲と二人で過ごすって決めてるから」
「いいの?大丈夫?」
「もちろん」
これほど、僕は美咲のことを大事にしていた。
二人でいる時はとても楽しかったし、幸せだった。
ただ、珍しく美咲の機嫌が悪くなったことがある。それは、同期たちとグランピングに行った時のことだった。
「そういえば、今度同期たちとグランピングへ行くことになったんだけど。美咲も来る?他のメンバーも、みんな奥さんとか、彼女彼氏とか連れてくるみたいで」
幾つかコテージがあり、それぞれパートナーを連れてきたりするらしい。かなり自由な会なので、僕はもちろん美咲を誘ってみる。
「そうなの?どうしようかな」
しかし美咲は少し考えた後、首を横に振った。
「やっぱり私はいいや。人見知りだし…。陸は楽しんできて」
「そっか。わかった」
しかしこのグランピングへ行った後のこと。帰ってきてから会うと、美咲はとても機嫌が悪かった。
「どうしたの?」
「インスタで見たよ。なんか、楽しそうだったね」
「え?何のこと?」
SNSに、僕は何も上げていない。
「でも僕、誘ったよね?美咲のこと」
これで、僕が美咲を誘っていないならまだわかる。しかしちゃんと誘ったし、他の人たちがたくさんいることも伝え済み。僕に落ち度はないと思う。
「そういうことじゃなくて…。男女で一緒にサウナとか、入るものなの?」
そう言われて、気がついた。同期の綾子が、SNSにみんなでいるところのストーリーズを上げていた。
加奈のアカウントはオープンなので、もしかしたらそれを美咲は見たのかもしれない。
でも、ただそれだけのことだ。
「同期だから、仕方なくない?水着も着ていたし…それに、事前に美咲にはちゃんと言っていたよね?やましいことがあるなら、そもそも誘わないよ」
「さすがに一緒には泊まってないよね?」
「もちろん。男女で別だし、カップルごとに別れてたし」
「そうなんだ」
「だから、誘ったじゃん?嫌なら、美咲も来ればよかったのに」
「逆に、だから嫌なんだよ」
僕には何が問題なのかわからなかった。浮気なんてしていない。やましいことは何もない。
「友達とか同期と仲良くすることの、どこがいけないの?」
「そういうことじゃなくて…」
結局その日の夜。一緒に映画を観る約束をしていたのに、美咲は「頭が痛い」と言い出しキャンセルになった。
このあたりから、美咲との距離ができてしまった気がする。
でも本当に何もやましいことはないし、浮気はもちろん、キャンプの時だって、女友達と触れ合ってすらいない。
「本当に、何もないし僕は美咲を大切にしているつもりだよ」
「うん、わかってる」
そう美咲も言っていた。
しかし結局、美咲から「他に好きな人ができた」と言われてしまった僕。
― まさかの…。美咲、浮気してた?
別れを告げられた日、僕はしばらくその場に立ち尽くしていた。
▶前回:マッチング後、2回目のデートがないワケ。男が初デートの時に気を付けるべきことは?
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
▶NEXT:3月8日 日曜更新予定
女が別れを決めた理由は?

