◆使命感にかられ、「闇居酒屋」を行脚
こうして緊急事態宣言から2カ月くらいは家に引きこもり、夜になってからストロング系と弁当をコンビニか牛丼屋に買いに行くためだけに、少しだけ外に出ていくという生活を送っていた。7月になって、外出規制が緩和され、少しは出社する必要が出てきたのだが、2カ月も日の光を浴びていないと、直射日光に耐えられなくなった。これは不摂生な生活だけではなく、季節によるものだが、駅に向かうまでにぜいぜい言うようになった。
しかも、まだまだ新型コロナウイルスは猛威を振るっている。汗を吹き出しながらマスクをして、外を歩いていると周囲から「あの人、ヤバいんじゃないの?」と不安がられた。心配しないでほしい。コロナではなくアルコール依存症である。
コロナウイルスは毎晩9%のアルコールを何本も飲むことで退治できるため、菌が酒に勝てるわけがない(※すべて筆者の妄想です)。あるいはタールが多く含まれたタバコで除菌していたのかはわからないが、こんな生活をしているにも関わらず、コロナには感染しなかった。
ただ、マジメに外出自粛や密を避けて生活をしていた人たちが、コロナに感染したのを聞くと、なぜだか申し訳ない気分になった。
「自分はこれだけ擦れた生活をしているのにも関わらず、コロナにかかっていないなんて……」
これもまた、余計な心配事である。
とはいえ、この頃は会社に行くことも少なくなったため、対人的なストレスはなかったが、それはそれとして、人に会えないというストレスは多分にあった。しかし、それを理由に酒量が増えることはなく、毎晩「158g」のアルコールをきっちりと飲み干していた。
しかし、そのうち、緊急事態宣言が発令され、20時には「時短営業」といって、小池百合子都知事のせいで居酒屋が苦境に立たされた。
普段は居酒屋に行かない人間だが、酒と飲み会は好きな人間のため、さすがに腹が立った。そこで、「革命家」気取りの筆者は、積極的に外でも酒を飲むことにした。
当時は繁華街に「闇居酒屋」といって、営業時間の20時を過ぎているにもかからず、灯りを薄暗くしたり、営業終了の看板を出しておきながら、営業を続けている居酒屋がいくつもあった。
筆者はそれらの店をすべて網羅した。そして、外出ができずに不満を抱えている友人を誘って、機会があればそこに連れ込んだ。
これが筆者なりの東京都への叛逆である。
<取材・文/千駄木雄大>
―[今日もなにかに依存中]―
【千駄木雄大】
編集者/ライター。1993年、福岡県生まれ。出版社に勤務する傍ら、「ARBAN」や「ギター・マガジン」(リットーミュージック)などで執筆活動中。著書に『奨学金、借りたら人生こうなった』(扶桑社新書)がある

