60歳で「資産3,000万円」でも贅沢できない?“お金を使いたいけど老後が不安”と悩む人の共通点【FPが解説】

60歳で「資産3,000万円」でも贅沢できない?“お金を使いたいけど老後が不安”と悩む人の共通点【FPが解説】

資産運用の目的として「老後不安の解消」を挙げる人は多いでしょう。資産が増えることで老後不安は解消されるかもしれません。しかし、それが「充実した老後」に直結するかというと、そうではないようです。今回は「お金を使いたいけど老後が不安」という人の根本にある共通点と、充実した老後を満喫するために知っておきたい「お金を貯めながら使うコツ」をみていきましょう。YouTubeチャンネル登録者数約40万人を誇る鳥海翔FPが解説します。

意外と多い?人生の“空白”

まずは、簡単なワークをやってみましょう。紙とペンを用意して、下記の4つをそれぞれ10個ずつピックアップしてみてください。

2025年に

・やってよかったこと:10個

・買ってよかったもの:10個

・行ってよかった場所:10個

・食べて・飲んでよかったもの:10個

実際にやってみると、意外と「10個も浮かばない」という人が多いはずです。

このワークでのポイントは、無理に数を揃えることよりも、書き出したそれぞれが「本当に満足した経験だったか」を改めて振り返ることです。

すると、「本当によかった経験」は数個に絞りまれるのではないでしょうか。この結果は、2026年も、2027年も、同じような1年が繰り返される可能性が高いです。

50代~70代を過ごし、80代、90代を迎えたときに「思い出せる体験」がほとんどない人生になってしまう……そんな未来を避けるため、いまこそ自分の人生を考え直してみましょう。

「人は時計の時間ではなく、記憶に残った時間だけを生きている」

1年は365日あります。1日3食として、約1,095回の食事をしています。それなのに、強く記憶に残る食事は数えるほどしか思い出せません。これは不思議なことではありませんか? 人は1日3万〜3万5,000回もの判断をしていますが、1年を振り返って思い出せる印象的な出来事はごくわずかです。

フランスの哲学者アンリ・ベルクソンは、「人は時計の時間ではなく、記憶に残った時間だけを生きている」と述べました。つまり、365日のうち10日しか記憶に残っていないのであれば、実質的に10日しか生きていないのと同じということです。

いつもどおりの会社、いつもどおりの食事、いつもどおりの人間関係……そんな毎日を繰り返していると、あっという間に時が過ぎていきます。

資産運用の「本当の目的」とは

皆さんは、なんのために資産運用をしていますか?

「老後が不安だから」という答えはよく聞きますが、それだけでは不十分です。老後の不安が解消されたとして、「生きていければそれでいい」という人生で満足できるでしょうか?

資産運用の真の目的は、より充実した人生を送ることにあるはずです。充実とは、長く生きることではなく、初めての体験を増やすこと、感情が大きく動く瞬間を増やすこと、自分で決めた選択を積み重ねることではないでしょうか。

老後不安の解消に欠かせない「人生設計図」

「お金を使いたいけど老後が不安」という気持ちの根本にあるのは、「見通しが立てられていない」ことにある場合が多い印象です。

・何歳まで生きる可能性があるか 

・毎月の生活費はいくらか 

・年金はいくら入るか 

・年金生活開始時にどれくらいの資産が残っているか

これらが不明瞭だと、「とりあえず貯めておけば・運用しておけば安心」と、無計画に貯め続けることになりがちです。結果、自分で望まない“つまらない人生”に進んでしまいます。

具体例で考えてみましょう。現在60歳で資産3,000万円ある場合、下記のように資産運用をすると、「貯めながら使う」ことが可能になります。

仮に、NISAで1,800万円を投資したとします(年利5%想定)。すると、残りは1,200万円です。

毎月の生活費が20万円程度なら、2年分の現金(480万円)を確保。残りの720万円を自由に使える余裕資金とみなせます。この720万円で、たとえばそのうち500万円を使って世界一周旅行をする……という選択も現実的です。

NISAで5年間段階的に投資を続けた場合、5年後には約2,000万円に成長しています。その後、毎月約10万6,000円を取り崩しても30年間持続可能な計算です。年金+10万円程度の生活が見込めるということになります。

このように具体的に試算することで、「お金がないからできない」ではなく、「これだけあるから使ってもいい」とイメージが変わるのではないでしょうか。多くの人は「急な医療費や介護費用が心配」と躊躇しますが、下記のような設計図があれば柔軟に対応可能です。

・65歳までフルタイムで働く

・66歳から500万円で世界一周旅行 

その後、66〜70歳の5年間で適度に働く

(年100万円×5年=500万円)

これなら無計画ではなく、むしろ計画的。旅行せずに貯め続ける人生と、旅行して適度に働いて補う人生、どちらが豊かでしょうか?

時計で測られた人生ではなく、記憶に残る人生を送るために

充実した日々を過ごすために、お金は「貯める」道具ではなく「使う」ための道具です。しっかりとした設計図があれば、不安を減らしつつ、心に残る体験を増やしていけます。

2026年、そしてこれからの人生をよりよいものにするために、資産運用だけでなく「人生設計図」を本気で作成することをおすすめします。

鳥海 翔
株式会社Challenger 代表取締役
FP(ファイナンシャル・プランナー)/投資家

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