死後の「お化粧と着替え」は保険適用外で5万円~10万円…名作映画のように美しく整えるケアが、病院では「完全自費」になる理由

死後の「お化粧と着替え」は保険適用外で5万円~10万円…名作映画のように美しく整えるケアが、病院では「完全自費」になる理由

本人や家族の意向があれば、「お気に入りの服」が着れる

そして、お着替え。予期された死ではない場合は、病院にある普段とは別の浴衣を着てもらうことが多いです。しかしながら、たとえば長らくがんを患っており、本人や家族から最期に着せてほしい服が決まっている場合には、そちらを選びます。

それから、元気なときにはちょうど良かったお洋服も、療養で痩せたりむくんでしまったりして、身体と合わないなんてことも出てきます。そういうときは、洋服の下にタオルをいれてふくよかに見せたり、腰回りや見えないところをご家族の了解を得てハサミをいれて着ているように見せたり、いろいろと工夫をします。

スーツやチマチョゴリを着させることも

同業者に聞いた話ですが、韓国の方が亡くなった際にチマチョゴリを着させて欲しいと言われたときには戸惑ったと言っていました。わたしも、和服は祖母の影響もあり慣れているんですが、他国の民族衣装までは……という感じです。男性のスーツも苦手。自分が着慣れていないものを相手に着させるのは、やはり場数が必要なんでしょう。

ここのプロセスは、生前より続く御本人の尊厳を保つこと、本人らしく見せることがなにより優先されると、個人的には考えています。

しっかりした「お化粧」は、お通夜と告別式にとっておく

映画「おくりびと」の影響からか、お化粧までしっかりやってくれると思っている人もいますが、実は病院内でのお化粧は最低限。あれは、プラスアルファのケアなんです。

どうして?と思われますよね。お化粧は、ご本人をきれいに見せるためのもの。となると、亡くなったあと一番きれいに見せたいときって、いつでしょうか? お通夜と告別式ですよね。ここが、一番きれいであってほしい。できるだけ、生前に近い容貌であってほしいわけです。

ただ、亡くなってから葬儀と告別式には必ず数日のタイムラグが発生します。日曜が結婚式だからって、金曜からお化粧している人なんていませんよね。お肌が荒れちゃう。ご遺体も一緒です。そのときにどんなにきれいにお化粧しても、葬儀まではもちません。

肌の色が変わったり、顔の筋肉が下がってきたりと、筋肉が硬直と弛緩を繰り返すのでどうしても変化してしまうんです。なるべく良い状態で参列者に見てもらうためにも、お化粧など「よりきれいに見せるケア」は葬儀社さんにお願いすることのほうが多いように思います。

わたしたち看護師は、生前の人間のケアのプロであっても、ご遺体管理のプロとは言えないんです。

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