人生後半はいくつもの峰がつらなる八ヶ岳連峰スタイルで
それからは2人の暮らしを楽しむべく、自然豊かな三浦半島に仕事場を兼ねたセカンドハウスを建て、東京との二拠点生活をスタート。
「最初は、個人的に引き受けていた仕事を全部手放して、インテリアの道一本で行こうと考えていたんです。なぜなら、長年、会社員として目の前の仕事に100%の力を注ぐ働き方をしてきたので、一つのことに情熱を傾けないとプロとして極められないと思っていたから。
でも、一つに絞ることは、他の選択肢を捨てるということ。年齢を重ねると、自分にとって大切なことも増えていくし、人生でやり残している未練もたくさんあります。それに変化の激しい今の時代、一つの仕事・収入に頼るのはリスクがある。だから、やりたいことは一つに絞らなくていいと思ったのです」
その思いを強固にしてくれたのが、「人生100年時代のライフデザインで目指すのは、富士山型の一山主義ではなく、いくつもの峰がつらなる八ヶ岳型連峰主義」という言葉。
リクルート時代の先輩でもあり、東京都で義務教育初の民間校長となった藤原和博さんが、書籍やセミナーなどで常々話されている言葉でした。
自分の人生も、いくつもの峰がつらなる山脈のように――。インテリアという一つの山にこだわらず、どの仕事も山々を縦走するかのように楽しんでいけばいい。60歳を迎え、ようやく自分らしい生き方にたどり着いたと語ります。
最近、増えてきたインテリアコーディネートの案件は、専門家の力を借りながら経験不足をカバー。住まい関連のNPO法人で河野さんがマーケティングのアドバイスを行う代わりに、インテリアデザインのプロから指導してもらうなど、“知識交換”をしながらスキルアップを図っていると言います。
「インテリアの仕事がいずれライフシフトの研究と融合していくかもしれませんし、先のことはまだわかりません。今は目の前に広がる山脈を楽しみながら登っていけたら」
まずはパートナーや友人が応援し合える相手かの見直しを
最後に、自分らしい生き方へとライフシフトしたい50代に向けて、アドバイスを聞いてみると……。
「人生を大きく変えていくのは、自分一人だけでは難しいものです。いろんな人の力を借りることも大切ですし、自分の行く道を互いに応援し合える『旅の仲間』が必要です。
最も身近にいるパートナーが旅の仲間であったなら、幸運なことですが、残念ながらそうでない場合もあります。一番近い存在だけに、道を阻まれる可能性もなくはありません。
今目の前にいる相手は、自分を応援してくれる人なのか?逆に自分は相手を応援したいと思えるか?パートナーとの関係を続けるかどうかも含めて、改めて見直してみるのは大切なことかもしれません」
また、心の中からふと湧いてくる「モヤモヤ」を見逃さないことも大事だと河野さん。
「自分らしく居られないときに、違和感というモヤモヤが浮かび上がるものです。そうした感情が出てきたら蓋をせずに、『変わるチャンスが来た!』と歓迎しましょう。モヤモヤは自分の本当の望みを理解し、ライフシフトへの扉を開くカギになりますから」
※2025年3月の記事を再編集して掲載しています。年齢などはインタビュー当時のものです。

