出社中にストロング缶3本、勤務中にも3本…「γ-GT 2410」で“死ぬレベル”と言われた20代編集者の末路

出社中にストロング缶3本、勤務中にも3本…「γ-GT 2410」で“死ぬレベル”と言われた20代編集者の末路

◆連続飲酒が加速し、ついに原稿が書けなくなる

そんな中、17時くらいから日付が過ぎるまでに7本飲んでいたのが祟ったのか、昼過ぎに目覚めてタバコを吸って会社に向かおうとする道中、吐き気が止まらなくなった。二日酔いではない。めまい、吐き気、体の震え……。なんとか、落ち着かせるために、まずはエナジードリンク(以下、エナドリ)の500ml缶を飲んだ。なんとか、体調は落ち着いたので、そのまま出社した。

しかし、徐々に症状は悪化してくる。起き抜けだけではなく、勤務中の昼間にもこのような症状に襲われるようになった。すでに2本目のエナドリは飲んでいるが、効果は薄れている。

「酒……。酒を飲みたい」

体調なのか精神的なものなのかわからないが、飲まずには吐き気が止まらないだけではなく、思考もまとまらない。そして、ついに昼間から酒を飲むようになった。そうしなければ、身体が保たないのだ。

その挙句、飲酒していないと頭がボーっとしてしまうため、原稿すら書けなくなった。ついに仕事にも支障が出た。

いよいよ、「連続飲酒(酒を数時間おきに飲み続け、絶えず体にアルコールのある状態)」に陥ってしまったため、昼間に3本ストロング系を飲みながら出社、あるいは会社に行くまでの間にうろちょろ歩き回り、スマホでマンガか王様を危険な目に遭わせる広告のパズルゲームに興じながら3本をすぐさま飲み干した。

さらに低気圧の日はストロング系を一気飲みすることで、無理やり血流のめぐりを良くしていたため、どこか体調不良があるとコンビニに駆け込んだ。

そして、夕方は休息がてら勤務先周辺を歩き回りながら3本を路上飲み。そして、帰り道にまた3本飲みながら帰路に着く。

飲酒のためにファッションも深いポケットが多く付いているワークシャツとジャケットを好むようになった。なぜなら、そこに「補充用」の缶を入れられるからだ。

さらに、最後に家に着いて堂々と1本飲む。家族はここに至るまで9本も飲んでいることを知らないため、「晩酌に1本飲むだけなら……」と錯覚してしまうのだ。

これで10本。シラフの状態がないため、常に内臓のどこかしらが傷んでおり、また腹もストロング系でタプタプだが、飲まないとまともに生活が送れないため、無理をしてでも飲んでいた。これをアルコール依存症と言わずして、なんという?

毎晩話しかけてくるキャッチからも「毎日それ(ストロング系)飲んでいるのはヤバいっすよ」と心配されるようになった。

その後、なにも言わずに引っ越してしまったため、あのキャッチは多分、筆者は死んだと思っているはずだ。


◆8年間で「一生分の酒を飲み切った」

しかし、迎え酒に次ぐ迎え酒である。酒を飲まなければ身体は落ち着かないのだが、続けざまに飲んでいると、大量飲酒のため、飲みながら吐き気を催すわ、頭がボーッとするのは治ったが、頭痛はするわ、身体そのものは常に怠い。ただ、飲まないと道端でのたうち回るほど、吐き気に襲われ、思考がまとまらなくなる。

「死ぬのかな……?」

そもそも、γ-GTが600を超えているため、酒を控えなければならないのだが、もう飲まなければ生きていけないのだ。ただ、このままだと死ぬのは分かっている。シラフでも酩酊状態でもどちらにしても、どこかしら具合が悪いからだ。

ただ、ここで人生が終わってもいいかもしれないーー。子どものときよりも卑屈さは薄れ、夢だった雑誌編集者にもなれた。それに何者でもないのに本も出せた。

「ジム・モリソンやカート・コバーンのように27歳では死ねなかったけど、28歳ならまだ誤差の範囲内だ」

実際にロックスターたちも過度なプレッシャーに耐えかねずに酒やドラッグなどに手を染めて、自らの死期を早めた。でも、筆者の場合はストロング系である……。

「いや、これはダサいな……。やっぱり、もう少し生きたいかも」

結果、再診でγ-GTが、一般的に40〜60が平均値とされる中、筆者は「2410」という数字を叩き出した。60倍である。

旧γ-GTPだと「1157」という数字なのだが、中島らもの『今夜、すべてのバーで』(講談社)にはこんな一節がある。

「生きてるのが不思議なくらいの数字だよ、これは。γGTPが一三〇〇だって……いったいれくらい飲んだんだ」
「一本くらいですね」
「毎日かね」
「毎日です」
「それを何年くらい」
「十八からですからね。十七年くらいかな」

ちなみに、中島らもが入院したのは36歳のときであるが、当時の筆者はまだ29歳だった。あと、普通に筆者は糖尿病の予備軍にもなっていた。

主治医からは「アルコール専門の病院紹介してあげます」と紹介状をもらった。

「ようやく、この酒浸り生活から抜け出せる……」

誰かに止めてもらわなければ、自分の力では絶対に抜け出せないのはわかっていたので、安心した。

とはいえ、アルコール専門の病院とはメンタルクリニックのことである。さすがに、うつ病と診断されてしまうのは嫌だったが、もう親は悲鳴を上げている。

これ以上心配させると……というか、命の危険もあったので、紹介された病院に直行。そこで、断酒補助薬であるレグテクトといくつかの睡眠導入剤と抗うつ薬を処方してもらい、その日の晩から飲み始めた。すると、スッパリと酒への未練がなくなった。

「これまで何度も休肝日を設けようとした努力はなんだったんだ……」

こうして今は、毎晩ノンアルコール飲料を4本飲んで睡眠導入剤を流し込みながら、電子タバコを吸い、YouTubeで犬とか猫の動画を見ている。すっかり、去勢されたような気分だ。

それでも、酒から抜け出せて本当によかったと思っている。今はいつも頭はスッキリしているし、吐き気もしない。なによりも、酒をやめた途端、γ-GTは200まで減った。

どう考えたって、8年という短い期間に飲みすぎていたのだ。一生分の酒を飲み切った。

こうして、ストロング系から抜け出した筆者だったが、まさかこの後、ほかの物に依存するとはまさか思わなかったが……。

<TEXT/千駄木雄大>

―[今日もなにかに依存中]―

【千駄木雄大】
編集者/ライター。1993年、福岡県生まれ。出版社に勤務する傍ら、「ARBAN」や「ギター・マガジン」(リットーミュージック)などで執筆活動中。著書に『奨学金、借りたら人生こうなった』(扶桑社新書)がある
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