◆天皇は徳川秀忠に私信で敬語を使っていた
基本的に禁中並公家中諸法度は、それまでの慣習法の成文化です。たとえば第二条では、「天皇、三公(現職摂関、大臣)、親王、前官三公、諸親王(世襲親王家の三世以下)、前官清華家大臣」の序列とされます。摂政(関白)、太政大臣、左大臣、右大臣は、皇族よりも宮中序列が上なのです。いわば「准皇族」とも言うべき存在です。准皇族とは、実質は皇族と同じような存在ですが、皇族の形式は与えられません。皇族の形式が無いので、もちろん皇位継承権はありません。ちなみに後水尾天皇は私信で秀忠に「秀忠公」などと敬語を使っています。天皇も敬語を使うような貴人は、実質的に准皇族なのです。形式的には、「准三后」という称号がありました。皇后・皇太后・太皇太后に准じるから、准三后(准后とも准三宮とも)です。

◆禁中並公家中諸法度は朝廷を徳川の支配下に置く目的の定め
と言う風に、禁中並公家中諸法度の中身は、皇室の伝統を踏まえています。しかし禁中並公家中諸法度は、朝廷を徳川の支配下に置く目的の定めです。いかに立派な美辞麗句も、本音が邪悪だと悪用しかされません。そして尤もらしい言葉を並べても、内容は皇室をコケにする条文のオンパレード。めぼしい条文を拾い出すと……。第八条は、「改元は漢朝の元号から吉例を選ぶこと。ただし、儀礼に習熟したら、日本の先例に習って良い」です。また、第十六条は、「(高貴の証である)紫の衣を天皇が乱発しているが、よく考えて与えるべきである」です。
一事が万事、この調子です。こんなのは「ロボット説」の序の口。押し付けられた後水尾天皇も、今は従うしかありません。

