
文具のとびら編集部
NPO法人ピアスマイルは、闘病中の子どもたちとその家族が心穏やかに過ごせるよう精神的・物質的支援を行うとともに、地域、社会の医療・福祉の増進を図り、広く公益に貢献するために設立された。「楽しい時間を贈る」をコンセプトに、入院している子どもたちや患者家族のサポートを行っている。活動の中でも力を入れて取り組んでいるのが「きらめき文具店」。病院内で“文具店”を開いて、入院中の子どもたちに文房具の買い物を楽しんでもらおうというもの。そこで手に入れた文房具から元気をもらっているという子どもたちは多いようだ。「きらめき文具店」について、ピアスマイル代表理事の大浦真理子さんと副理事の菊岡直さんにお話を伺った。
大浦真理子さん(左)と菊岡直さん(右)
子どもたちが病院で楽しい時間を過ごすために
大浦さんと菊岡さんのお子さんは、どちらも同じ時期に、神奈川県にある東海大学医学部付属病院に長期入院していたそうで、その時に二人は知り合った。「子どもは亡くなりましたが、患者の会を引き継ぎ、それからずっと支援活動をしてきました」と大浦さんは話す。しかし、その活動はコロナ禍で思うようにできなくなり、休止状態になってしまう。
菊岡さんが移住してきたのは、ちょうどその時だった。お子さんの退院後はお住まいのあった九州で暮らしていたが、「病気の子どもとその家族の支援をしたいとずっと思っていたので、またここに帰ってきました」と菊岡さんは振り返る。そして同じ想いの人たちが集まり、「NPO法人ピアスマイル」を設立した。
コロナ禍で活動できない間は準備期間にあてて、子どもたちが病院で楽しい時間を過ごすために何ができるか模索していたのだという。そして閃いたのが、病院内で文具店を開くというアイデア。「入院中の子どもたちは、自分で何かを選ぶということがまずできません。もし、お店で買い物体験ができたら“元気になりたい、日常に戻りたい”と思ってくれるんじゃないだろうか。子どもがお小遣いで買える文房具は、日常生活での必需品。入院中でも退院してからも使えます。だから、自分で選べる文具店がいいんじゃないかと提案しました」。そう説明する菊岡さんは、実は大の文具ファンでもあるのだ。
「それまで文房具に特に興味はなかったです」という大浦さんは、その菊岡さんの提案に対し、「改めて文房具について考えてみたら、文房具はただの道具じゃないなと気づきました」と言う。文房具は勉強のための道具だが、カッコいい・かわいい文具、面白文具、おしゃれな文具など、多種多様だ。自分が気に入った文房具を手にすれば、きっと心癒されるだろう。「そう考えて“文房具しかない”という結論になりました」と大浦さん。お店の名前も色々と考え、「その命、その笑顔がきらめいてほしい」という想いから「きらめき文具店」に決めたそうだ。
大の文具ファンという菊岡さんの自宅には、これまでに集めた膨大な数の消しゴムコレクションが収納・展示されている。子どもたちのために駆け回る忙しい日々を過ごしながら、コレクションした消しゴムたちに癒やされているそうだ。
「きらめき文具店」を各地で開催
「きらめき文具店」は、2024年1月から東海大学病院でスタートし、毎月1回開催している。今は同病院に留まらず、沖縄、島根、鳥取、広島、大阪、栃木と各地に広がりつつある。今後もさらに拡大していく予定だという。
「きらめき文具店」で並べている文房具。POPは自分たちで手書きしているそうだ。
「お店」となっているが、実際は子どもたちに提供している文房具は病院への寄付である。なので、本物のお金ではなく、「ピア」というオリジナルの通貨を使って、リアルにお店で買い物をしているような体験を子どもたちにしてもらっているのだ。1回の買い物で1人につき600円分のピア通貨をお小遣いとして渡しているが、「おつりを貯めて、次の買い物で大人買いする子もいます」というのが何とも微笑ましい。
オリジナル通貨の「ピア」。消しゴムはんこを押して手作りしている。
