花から「選ばれる」瞬間
選抜が行われるのは、毎年10月。3人は毎週末、群馬のハウスを訪れ、朝から夕方まで花と向き合う。どれも美しいからこそ、選ぶのは簡単ではない。

「それでも、遠くからハウスを見渡していると、ふと目に留まる株があるんですよ。まるで花から呼びかけられているような瞬間があるんです」と兼岡さん。

3人はそれぞれの感性で選ぶが、ときには3人全員が同じ株を選ぶこともある。そんな「スター選手」でも、必ずしも商品になるわけではない。3人が選んだ株の中から、さらに佐藤さんが株としての性質や生産の安定性を見極める。そして市場にデビューするのは、ほんの一握りだ。
ワクワクから責任へ
3人はもともと、愛好家として花を選んでいた。店でサトウ園芸の花を選ぶときのワクワク感には、他の花にはない高揚感があったという。しかし、セレクターとして選抜に関わるようになってからは、その気持ちに責任感が加わったと小林さんは話す。

「キレイなだけじゃなくて、いかにこれまでにない個性を見つけられるかが鍵」
その真剣な眼差しが、‘ローブ・ドゥ・アントワネット’誕生へと導いた。小林さんが発掘したその個性は、ブランドを代表する顔となり、今や海外で最も人気の高いシリーズになっている。

「花が好きで、自分たちのいいと思う花を一生懸命に選んでいたら、海外でも注目されるようになって。何が嬉しいかって、たくさんの人と感性を共有しあえることなんです。花って、言葉がいらないんですよ」と橋本さん。
美しいものに、心は共鳴する。その共鳴は今、海を越えて広がっている。
