たくさんの人と育てるサトウ園芸のブランド
サトウさんは言う。
「自分が全部やろうと思わないほうがいいんです」
花を選ぶのは、3人の愛好家。品種名は、センスのいい花屋さんに任せる。宣伝は、愛好家やメディアが撮る写真が広げてくれる。
「人に任せることで、ここまで広がってきたんです」
しかし、その中心にはいつも花がある。その花を生み出したのは、38年花と向き合ってきた育種家の情熱に他ならない。

日本の園芸文化の中で生まれてきた花
パンジーやビオラはヨーロッパ原産の花だ。にもかかわらず、近年もっとも個性的な品種が次々と生まれているのは日本だと言われている。その背景には、日本の園芸文化がある。
日本では昔から、同じ植物の中に現れるわずかな違いを見つけ出し、選び抜き、美へと昇華させていく文化と技術が発達してきた。そして江戸時代には、朝顔や椿、菊などで多彩な園芸品種が作られ、殿様から庶民までが花の形や色の微妙な変化を楽しんできた歴史がある。

こうした「違いを見つけて愛でる」文化は、現代のパンジー・ビオラにも受け継がれている。均一ではない色。揺らぎを持つ花。一株ごとにわずかに異なる表情。それを「ばらつき」ではなく、「私だけの一株」として愛する文化が、日本にはある。
その楽しみ方は、江戸時代の園芸愛好家たちの感覚とどこか重なっている。サトウ園芸のパンジー・ビオラが海外で注目されているのは、単に珍しい花だからではない。そこには、日本の園芸文化が育ててきた「揺らぎを美しいと感じる感性」が宿っているからだ。
