アメリカで30分完売。「KUSUMI Color」で世界を魅了する群馬のパンジー・ビオラ

アメリカで30分完売。「KUSUMI Color」で世界を魅了する群馬のパンジー・ビオラ

なぜ“青”は難しいのか

こうした複雑な色を生み出す過程では、植物としての難しさもある。パンジーやビオラの青や紫の色は、主にアントシアニンという色素によって生まれる。しかし、特に青の発色は繊細で、株の生育とのバランスが難しいという。

青系のパンジー・ビオラ
春の空色、雪解けの水、インクの滲み…。青系だけでも個性豊か。

「きれいな青が出ると、根が弱いことがあるんです」と佐藤さんは話す。

根が弱い株は生産に向かない。そのため、どんなに美しい色でも商品化できないこともある。つまり、奇跡のような色が生まれても、それがそのまま世に出るとは限らない。

育種とは、美しさと植物としての強さの間でバランスを探る作業でもあるのだ。

パンジー・ビオラはブルーオーシャン

パンジーやビオラは、世界中で栽培されている花だ。一見すると、成熟しきった市場のようにも見える。しかし佐藤さんは言う。

「パンジー・ビオラはブルーオーシャンなんです」

まだ誰も見たことのない色がある。
まだ誰も作ったことのない花がある。

サトウ園芸のビオラ

その可能性を信じて、佐藤さんは育種を続ける。そしていま、その花は海を越えた。2025年、サトウ園芸のパンジー・ビオラは北米でも販売が始まり、50の園芸店に並んだ。アメリカのパンジーインフルエンサーがサトウ園芸を訪れた際の投稿は300万回再生。アメリカのある店では、250人以上が行列を作り、840株が30分で完売した。

日本の感性が育てた「揺らぎの美しさ」は、いま世界中から熱い視線を浴びている。

「数年後には、日本のパンジー・ビオラがアメリカを席巻すると思っています」と佐藤さんは話す。

サトウ園芸のビオラ

その言葉は、決して大げさには聞こえない。群馬のハウスから生まれた花が、静かに世界へと広がり始めている。

今、世界のどこかで誰かが、その花を前に、あなたと同じように感嘆のため息を漏らしているかもしれない。

Credit 取材&文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!

あなたにおすすめ