現実的な資金計画の重要性
加えて、一つお伝えしておきたいことがあります。それは「法的な対策を作っただけでは、介護費用の問題は根本的には解決しない」ということです。
どれだけ完璧な家族信託や代理人登録を済ませて「お金を引き出せる状態」を作ったとしても、毎月の老人ホーム代や医療費の支出が親の年金や預金を上回るペースで続けば、いずれ資金は底をつきます。
「誰がお金を引き出すか」という問題をクリアすると当時に、「この施設に入居した場合、親の資産は何年持つのか」「月にいくらまでなら安全に取り崩せるのか」という、現実的な資金計画(キャッシュフロー)を立てる必要があります。
介護は時に長丁場になります。法律の知識に基づく「制度の構築」と、ファイナンシャルプランの視点に基づく「長期的な資金計画」。この両輪が揃って初めて、ご家族は本当の意味で安心して暮らしていくことができます。
「家族関係は良好だから大丈夫」「暗証番号を知っているから安心」。そんな思い込みを一度手放し、まずは親の資産状況や今後のライフプランについて、ご家族で話し合うことから始めてみてはいかがでしょうか。
市山 智
司法書士/行政書士/AFP(日本FP協会認定)
