◆月収8万円でも、しっくりくる生き方
――いつからトレーニングに目覚めるのでしょうか。ゾンビ井上:すべての店舗が倒産し、借金が1億以上残ってしまったのち、ふと鏡を見たんです。35歳のときだったと思います。お腹だけやけに出ているのに顔はげっそりしていて、「自分はこんな姿なんだ」とはっとしたんです。2年近くは自宅で筋トレをして、3年目からジムに通い始めました。そのあと、ベストボディジャパンに出てみると、入賞することができました。
――現在は平均月収が8万円ほどだそうですが、過去を振り返って、どう感じますか。
ゾンビ井上:お金をたくさん稼いで100人規模の従業員の生活を担うという幸福も、あると思います。責任も重いですが、確かにやりがいもありました。ただ、もともと物欲のない私にとって、週に3〜4回のアルバイトで8万円ほどを稼いで家賃2万7千円の家に住み、ひたすらボディメイクをしながら配信などもする――という生活も意外と性に合っていて幸せです。今は応援してくれる人もたくさんいるし、もう一度この世界で花を咲かせたいなとは思っています。
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苗字に冠した“ゾンビ”に込めた意味は、「何度へこたれても必ず復活する」。名前負けすることなく、幾度の挫折を超えて井上さんは笑う。エンターテイメントの世界での実績を挙げながら、そこに固執することなく鍛える己の肉体と精神。彼の生き様に、不屈が宿る。
<取材・文/黒島暁生>
【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

