連載が一段落ついた昨年夏、本当は漫画家をしばらく休業し、近所のスーパーでアルバイトすることを考えていたという、まんきつさん。

◆「やり残した宿題」と「休みたい本音」が重なって生まれた新連載
──「休みたい」と思っていた矢先に、「休みかた」をテーマにした連載が始まった経緯を教えてください。まんきつさん(以下まんきつ):最初にお話をいただいたときは、実は一度お断りしているんです。でもその後、担当編集の高石さんとお話しする中で、以前手がけたサウナ漫画の『湯遊ワンダーランド』(2016~19年連載、週刊SPA!)でサウナの注意喚起を十分に描ききれなかったことが話題になって。
サウナって、一歩間違えると脱水症状で倒れてしまうような危険も隣り合わせじゃないですか。せっかく「休み方」をテーマにするなら、ただリラックスするだけじゃなく、そういう「安全に、正しく休むための知識」も改めてしっかり伝えたいなと思ったんです。
一方で、私自身もちょうど『そうです、私が美容バカです。』(マガジンハウス)の連載が一段落して、1年くらいは締め切りから解放されてアルバイトでもしながら、のんびり過ごしたいなと思っていた時期で。「自分自身が本当に休みたかった」というタイミングと、「描き残した宿題(注意喚起)」がうまく合致して。
それじゃあ、『湯遊ワンダーランド』の番外編という形で、1冊だけ出そうということになりまして。あとタイトルって、けっこう重要じゃないですか。そこから内容を想像して手に取る人も少なからずいますし…。なので、もう少し中身を想像してもらえるものにしたいと思って、毎回タイトルに付けてきた「ワンダーランド」も、今回は思いきって外すことにしました。
◆現代人に蔓延する「休み下手」の実態とデジタルの弊害
──作中では、担当編集の高石さんが「休むのが下手な人」の象徴として登場します。休み上手な先生から見て、高石さんのどんなところが「下手」だと感じますか?まんきつ:とにかく夜も土日も働いているんですよね。大事なビジネスパートナーなので、倒れられたら本当に困るんです。だから、まずは身体を最優先でお願いします。高石さんに限らず編集者は働き者が多くて、明確な休日がないのに自分でも休みを設定しないから、結局ずっと休めていないんです。

まんきつ:私の周りは、みんな働き者ばかりですよ。たとえば、『美容バカ』の担当編集者は、出産した当日にもかかわらず仕事のメールを送ってきましたから。「産んだ日に仕事!? いや、お願いだから何もしないで寝ててくれ…」と本気で思いました。あれは無理をしているというより、彼女の責任感とプロ意識の強さなんだと思います。ただ、そういう姿を「当たり前」にしてしまう空気が、私たちの周りにはあるのかもしれません。
──ワーカホリック気味で、仕事とプライベートの境目が曖昧になってしまうのですね。
まんきつ:だからといって「よし、今日は休むぞ!」と意気込みすぎるのも良くない。仕事と休みをはっきり区切ろうとすると、今度は「休むこと」自体がノルマや作業になってしまいますから。
──たしかに、「せっかくの休みだから何か有意義なことをしなきゃ」と焦る気持ちは分かります。
まんきつ:だから、そういう「休み下手」な人にはサウナがいいんです。サウナにはパソコンもスマホも持ち込めないから、強制的にデジタルデトックスができる。今はみんなスマホを見過ぎていて、休んでいる間も仕事の通知に怯えているじゃないですか。物理的にデジタル機器から離れることは、脳にとってもすごく良いはずです。

