「黒字リストラ」が招く家庭内の意識格差
2025年、上場企業による「早期・希望退職募集」の人数は1万7,875人に達しました。 この「黒字リストラ」の大きな特徴は、会社が倒産するわけではないため、対象となる社員に悲壮感が薄く、むしろ夢男さんのように「チャンス」と捉えるケースが多いことです。
東京商工リサーチのデータによれば、募集企業の約7割が黒字であり、製造業を中心とした大手企業が名を連ねています。 提示される金額(数千万円)は、会社員人生で目にする最大のキャッシュです。そのため、男性側は「これだけあれば何とかなる」「夢を叶えたい」と楽観的に捉えがちです。
一方で、家計を管理する女性側は、インフレによる生活費の上昇や、教育費、親の介護費用など、支出の現実をシビアに見積もっています。50代での再就職で年収が激減するリスクも知っているため、夫の「見切り発車」に強い不安を覚えるのだと推測できます。
退職金は「過去の功労金」であると同時に、「未来の生活保障」でもあります。この認識が夫婦間で共有できていない場合、早期退職制度は経済的な自立をもたらすどころか、家庭崩壊の引き金になりかねない危険性をはらんでいるといえるでしょう。
[参考資料]
東京商工リサーチ「2025年 上場企業『早期・希望退職募集』状況」
