◆花粉症に効く免疫療法・抗体薬・ワクチンが研究開発中
飯島院長は花粉症対策について、何より大事なのは食生活の見直しや十分な睡眠・適度な運動など健康的なライフスタイルだという。体質改善は即効性こそないものの、花粉症症状の緩和につながる鍵である。花粉症シーズンを少しでも快適に過ごすため、身の回りのあらゆる要因に目を向けた工夫が効果的だ。いまや「国民病」とすら言われるほど蔓延している花粉症。その対策が現在、医療分野で進行中だ。例えばスギ花粉エキスを使った舌下免疫療法が、ここ数年で実用化されて症状経験~完治の成果を上げている。
「花粉症を根本から治療できる可能性があるのは免疫療法だけですが、近年これが大きく進歩しています。日本では舌下免疫療法用にシダトレン(液体)に続きシダキュア(錠剤)が開発され、スギ花粉症の約80%に有効との報告もあります。少なくとも2〜3年継続が必要ですが、約7割の患者で症状が軽減し、中には完治同様の状態になる人もいますよ。さらにヒノキ花粉にも交差効果が認められており、スギとヒノキ両方の症状緩和が期待できます」
アレルギー抗体そのものを無力化する生物学的製剤(抗体薬)の「オマリズマブ」も花粉症重症例への投与が開始されている。花粉症ワクチンの開発計画も進められており、シーズン前に2回注射するだけで効果が持続するワクチンの臨床試験が近く開始される予定だ。実用化されれば画期的な治療オプションとなるという。他にもまぶたに塗るだけの抗アレルギー薬(アレジオン点眼軟膏)、ワクチンパッチ療法や、遺伝子組換え技術を用いた新たなワクチンなども研究段階にあり、花粉症治療の飛躍的な進化が期待される。
これらに加えて、ケヤキやイチョウなど花粉を出しにくい樹木を都市緑化に使用したり、山林の既存スギを伐採してから花粉をほとんど飛ばさない「無花粉スギ」「少花粉スギ」に植え替えるなど、街づくり・環境づくりの側面からも花粉症対策は行われている。数十年単位の長期計画にはなるが、かつて昭和中期の公害問題が社会的な努力と技術発展で改善されたように、将来の花粉症リスクも大幅に下がる可能性はあるだろう。
「花粉症と付き合うのは大変ですが、正しい知識とちょっとした工夫で必ず今より楽に過ごせるようになります。症状をゼロにするのは簡単ではないものの、『少し良くなることを積み重ねる』ことで生活の質は飛躍的に向上します。今年うまくいかなかった方も、来年にはさらに良い方法が見つかるかもしれません。『情報』と『挑戦』をぜひ続けてみてください!皆さんが健やかに、笑顔で花粉シーズンを乗り切れることを願っています」
花粉症患者も前向きになってほしいと、飯島院長は後押しをしている。花粉症はつらいものだが、新しい治療法の開発は進んでいるし、適切な工夫をすれば仕事や趣味をあきらめる必要はない。頑張りすぎず諦めず、できる対策からコツコツという積み重ねが、明るい今後につながるのである。お大事に!
<取材・文/デヤブロウ>
【デヤブロウ】
東京都在住。2024年にフリーランスとして独立し、ライター業およびイラスト業で活動中。ライターとしては「Yahoo!ニュース」「macaroni」「All Aboutニュース」などの媒体で、東京都内の飲食店・美術館・博物館・イベント・ほか見所の紹介記事を執筆。プライベートでも都内歩きが趣味で、とりわけ週2〜3回の銭湯&サウナ通いが心のオアシス。好きなエリアは浅草〜上野近辺、池袋周辺、中野〜高円寺辺りなど。X(旧Twitter):@Dejavu_Raw

