
不動産調査会社の東京カンテイによると、2025年7月の東京23区中古マンション(70㎡)価格は平均1億477万円でした。平均価格が“億超え”となるなか、一般的な家庭であれば、遺産相続など“自分以外の力”がなければ現実的ではありません。ただ、そのようなケースでは税務署から目をつけられることも……。40代夫婦の事例をもとに、住宅売買時の税務上の注意点をみていきましょう。宮路幸人税理士/CFPが解説します。※個人の特定を避けるため、登場人物の情報および時系列を一部変更しています。
2025年も高騰が続く都内の中古マンション
都内の中古マンション価格は、2025年も高騰が続いています。
株式会社東京カンテイの調査によると、2025年7月の東京23区・中古マンション(70㎡)平均価格は15ヵ月連続上昇し、1億477万円となりました。
一方、日本人の平均給与は460万円(男性:568.5万円、女性:315.8万円※国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」より)です。こうしたなか、一般的なファミリー層が23区内のマンションを購入することは、現実的ではないでしょう。
ただし、自分たちだけの力だけではない“外的要因”によって大金を手にすることができれば、その限りではありません。
昇進に大喜びの夫婦だったが…
「やっと……やっと本社からお呼びがかかったよ。東京に引っ越しだ!」
とある地方都市に暮らす、会社員の猪上英明さん(仮名・41歳)。英明さんは今日、昇進を伴う東京本社への転勤が決まり、帰宅後すぐ妻の美咲さん(仮名・40歳)に報告しました。
「え!? すごい! おめでとう!」
夫婦で大喜びし浮かれた2人は、「思い切ってこの機会に東京に家を買おうか」と、転勤先に通いやすい23区内で家を探すことに。しかし……。
住宅情報サイトを見てがく然…思わず「誰が買うんだ」と悪態
「ちょっと待て、なんだこれ! 中古なのに、なんでこんなに高いんだ!?」
平均価格が1億円を超える23区内の中古マンションに、思わず「こんな値段で誰が買うんだ」と呆れる夫婦。
そして2人は相談の末、しぶしぶ郊外の賃貸マンションを借りて暮らすことにしました。
