◆被災体験を「リアルに伝えない」真意とは

時東:リアルに伝えることは、いくらでもできるんです。数字を並べたり、被災者の声をそのまま届けることも。
でも、そうすると「怖いから聞きたくない」「考えたくない」となってしまう方もいるんです。
そうならないために、できるだけ直接的な言葉や表現は避けるようにしています。
――子どもに防災を伝えるのって、難しくないですか?
時東:めちゃくちゃ難しいです。なので、親子向けのイベントは楽しく防災を学べるようにクイズをしたり、防災ソングをみんなで歌ったりします。
大人向けの企業講演だったら、「お母さんが亡くなった場合、お父さんは子どもの好きな食べ物やアレルギー、通学路を把握していますか?」といった、直接的ではないけれどリアルな話をします。
伝える相手によって内容は変わりますが、共通しているのは「笑顔で伝える」「オブラートに包む」というスタンスです。それは逃げじゃなくて、より多くの人に届けるための私なりの戦略なんです
◆防災は「ボランティア」じゃない

時東:一番の場は、オンラインサロン仲間と取り組んでいる「時東ぁみのみんなでBOUSAIキャラバン(以下、BOUSAIキャラバン)」という防災イベントです。昨年までで10回開催することができました。
コロナ禍に立ち上げたオンラインサロンの仲間たちと企画していて、私が主導でステージを企画、スポンサー集め、運営を行っています。
――企画からスポンサー集めまで全部ご自身で……。なぜそこまで自分で手がけるんですか?
時東:なぜか「防災=ボランティア」というイメージがあって、お金が発生しにくい世界なんです。それに、災害が起きた時だけ防災意識が上がって、その後また低迷していくという波があって、防災関連のビジネスはどこも苦労しているんです。
命の守り方を伝えることに対価が発生しないのはおかしいと思いますし、うまくビジネスとして続けることが、防災を続けることだと思っているので。それに、せっかく『時東ぁみ』という看板があるんだから、使わない手はないなと。
――『時東ぁみ』だからこそできる企画、というのはどんなものですか?
時東:アイドル活動で培ったイベントプロデュース関連のノウハウもありますが、会場の特徴やクライアントの要望に合わせて企画を組むので、毎回オーダーメイドで全然違う企画になります。
例えば、災害時の避難場所に認定されている施設と組んで開催した時は、劇団員を仕込んだリアル避難訓練をやりました。お客さんには避難してきたという設定で参加してもらって、劇団員が起こしたハプニングをみんなで解決していくという内容です。

時東:不思議なんですが、防災だけはアイデアがポンポン浮かんでくるんですよ。私も一応子育てしている母なのでご飯を作っているけど、料理のレパートリーは一切浮かばないのに(笑)。
それに防災ガチ勢なので、マネージャーから「イベントの相談が来てるんですが」といわれたら、すぐに「いいですよ。やりましょ、やりましょ」って言っちゃうんですよ(笑)。
3月も「BOUSAIキャラバン」を2か所でやりますし、今年の夏までスケジュールが決まっています。
何本も同時進行しているので、いつ、どこでやるイベントの話をしているのかが、たまにわからなくなることもあります(苦笑)。
――スケジュールがそんなに詰まっているとは驚きです!昨年はどんなイベントをやったんですか?
時東:年末に「防災×介護」に挑戦したのですが、これがけっこう大変でしたね。自力で動けない方や認知症の方がいる現場では、ほかの防災イベントで当たり前に行っている避難訓練がうまくできなかったんです……。
でも、こういった災害弱者と呼ばれる方々にこそ届けなければいけないので、今年はこの分野を深掘りしていきたいと思っています。

