「お母さん、もう子育てやめるわ。」月収35万円・39歳母から突然の“子育て卒業宣言”…中学2年生から家事を丸投げされて育った息子が、大学卒業の春に放った「まさかの一言」

「お母さん、もう子育てやめるわ。」月収35万円・39歳母から突然の“子育て卒業宣言”…中学2年生から家事を丸投げされて育った息子が、大学卒業の春に放った「まさかの一言」

共働き世帯が増え、フルタイム勤務をしながら子育てをしている女性も増えています。夫と妻で負担が平等になるのが理想ですが、実際には妻に負担が偏っている家庭も多いようで……。本記事では、リュウセイさんの事例から、共働き家庭における女性側の負担について考えます。※登場する人物はすべて仮名です。

突然の「子育て卒業宣言」の真相

「お母さん、もう子育てやめるわ」

――遡ること8年前。リュウセイさんが中学2年生になったばかりの春、母・ミホさん(当時39歳)は突然家族を集めてそう宣言しました。

母はフルタイム勤務の正社員で、月収は35万円ほど。共働きで、父もフルタイム勤務でしたが、家事はミホさんが1人で担っていました。

翌朝から、母は本当に家事をやめました。お弁当も作らず、洗濯も自分の分しかしません。朝、かろうじて白米だけ炊いてくれるものの、出勤時間になったら家を出てしまいます。

「ヒカルの親もコウキの親も毎日お弁当作ってるよ! お母さんもやってよ! もとに戻ってよ!!」

リュウセイさんは中学2年生なりの反論で、友人の親を引き合いに出し、必死に泣きつきましたが、ミホさんは「お母さんにだってお母さんの人生があるの」と一蹴。父に助けを求めても「まあ、ストレス溜まってるんじゃないか」となだめることしかしてくれません。

俺、弁当作れるじゃん…仕方なく踏み出した「自立への一歩」

どうしようもなく、ご飯にふりかけをかけただけのお弁当をこしらえたり、お小遣いでコンビニの惣菜パンを買ったりして凌いでいましたが、しだいに惨めに思うようになりました。少しだけ早起きして、記憶を頼りに「卵焼き」を作り、ウインナーを炒めてお弁当箱に詰めます。冷凍庫にあった冷凍食品を詰めると、それらしい見た目に。

「なんだ、俺、弁当作れるじゃん」

焦げた不格好な卵焼きは味がしませんでしたが、達成感からか不思議とまずくはありませんでした。徐々に夕飯の残りを取り置くことを覚え、おかずカップやピックなど彩りをよくするお弁当グッズの知識も身に付き、高校生になるころには立派なお弁当を20分で作れるようになっていました。

洗濯も、制服のワイシャツへのアイロン掛けも、自分自身で行います。父もそんな息子の姿を見て一念発起したのか、掃除や夕飯づくりを担当してくれるように。一方の母は、家事を手放した時間で資格の勉強に励み、憧れの企業に転職。新たなキャリアをスタートさせていました。

「子育て、やめてなかったよね…」息子の一言に、母の反応は

そして、大学進学を機に一人暮らしを始めたリュウセイさん。周囲の友人たちが「自炊ができない」「洗濯機を回していなくて明日着る服がない」と家事に苦戦するなか、自分だけは慣れた手つきで自立した生活をすることができています。

スーパーの底値がわかり、高いと感じたら少し遠くのスーパーまで自転車でハシゴ。眠くて時間のないときも、冷蔵庫の余り物でパパッと自炊ができ、その分生活費が抑えられ、友達と遊びに行く余裕があります。周囲のように「金がない」と悩むこともありません。そんな自分の高い「生活力」に気づいたときはじめて、理不尽に思えた母の「子育て卒業宣言」が、自分への最大の教育だったのだと悟りました。

そんなリュウセイさんもこの春、無事に大企業からの内定をもらい、大学を卒業します。春休みで実家に帰省したリュウセイさんは、食卓を囲んだあと照れくさそうに、母の背中に声をかけました。

「……あのさ」

聞こえていないのでしょうか。母はこちらを向くこともなく、リビングには沈黙の時間が流れます。

「俺、気づいてたよ。ごはん炊いてくれてたことも、冷蔵庫の中身切らさないように買い物行ってくれてたことも。部活の大会、こっそり見に来てくれてたことも。……俺、最初まじでびっくりして絶望したけどさ。子育て、別にやめてなかったよね」

勇気を出して話しているのに反応がなく、リュウセイさんがたまらず顔を上げると、母の背中が少しだけ震えているのがわかりました。

「家事してて思ったよ。働きながら、これ1人で3人分やんの、超~キツかっただろうなって。父さんもあんな感じで、頼りにならなかっただろうしさ。まじでありがとう。おかげで、ちゃんとした大人になれました。まあ……まだまだかもしんないけど(笑)」

母はなにもいわず洗面所に向かうと、タオルでそっと目元を押さえました。

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