【福島県大熊町】相双地域の情報を伝えるフリーペーパー 創刊者が語る故郷・大熊への思い/帰還者 野口さんインタビュー

【福島県大熊町】相双地域の情報を伝えるフリーペーパー 創刊者が語る故郷・大熊への思い/帰還者 野口さんインタビュー

帰還できる日を信じ、発行を継続

そんな中、2011年に東日本大震災が発生しました。原発事故により、野口さんは町外への避難を余儀なくされましたが、郡山市にアパートを借りて編集を続け、震災から3か月後に発行を再開しました。また、町内の事務所には創刊以来の貴重な誌面データが残っていましたが、立ち入りができたときにタイベックススーツを着て、ドライバーを1本持って事務所に入り、パソコンからハードディスクだけを取り外し、貴重なデータを持ち帰りました。当時の号はファイルに閉じこまれており、多くの飲食店やフリーペーパーに写る若者たちの姿から、震災前の双葉郡の賑わいが伝わってきます。

その後、野口さんは事務所を郡山市から南相馬市に移して発行を続けました。避難生活は10年以上に及びましたが、野口さんは避難指示はいずれ解除されると信じていました。そして、CREVAおおくまの入居者の公募が出るとすぐに応募。入居が決まり、帰還の準備を進めてきました。そして2025年、CREVAおおくまのオープンに合わせて、再び大熊町に戻ってきました。

「アメリカから大熊に戻ってきて、もうずっと住み続けようと思っていたのですが、震災でまた町を離れることになってしまいました。でも生きているうちにいつか避難が解除になると信じていました。やっぱり、地元に暮らしたくて」と話します。

商工会に若手をつなぎ、実家のお菓子屋さんの味を引き継ぐ

野口さんは現在、大熊町商工会の女性部長と相双地区商工会女性部連絡協議会の会長を務めています。野口さんは移住して事業を立ち上げた女性たちに声をかけ、女性部に引き入れています。若い世代の発想や感覚と、長年大熊でお店を続けてきた人の経験が交わり、新しい企画や協力関係につながることもあるそうです。

そして野口さん自身も実家の菓子店の味を引き継いでいきたいと考えています。震災前、JR大野駅近くにあった「美好野菓子店」。和菓子、洋菓子と様々な菓子を提供しており、粒あんたっぶりの鯛焼きやカスタードクリームが入った人形焼き「パンダ焼き」が人気でした。2025年秋に合ったクマSUNテラスのイベントでは串団子を出店。現在店舗はありませんが、父親から「落雁(らくがん)」などの和菓子作りに使った木型を引き継いでおり、この木型を使って父親がはじめたお菓子の味を守っていけたらと考えています。

最後に、野口さんに移住を考えている方々に向けたメッセージを聞くと、野口さんは次のようにお話されました。

「震災前、『info』でこの地域の人を特集するページがあったのですが、テーマが『スローライフ』でした。震災を経て改めて思いますが、この地域は自分の価値観の中でゆったりと過ごせる場所だと考えています。その暮らしの情報を集めた『info』をぜひ手に取っていただけると嬉しいですね」

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